東京のインクルーシブ教育が、年末に大切な1歩があったので、報告します。その前に、まずは経過報告をさせていただきます。

<これまでの経緯>

四角グリーン2019年「インクルーシブ教育調査研究の事業」が実現

都議会議員になってからずっとずっと
東京都教育庁の特別支援教育課のみなさん、
私が所属する都民ファーストの会東京都議団の仲間議員のみなさん、
そして小池百合子東京都知事に対して
インクルーシブ教育の必要性を訴えてきましたが、
それが「芽」となったのが去年でした。

都知事のリーダーシップによって
「まずはインクルーシブ教育がなんなのか調べよう」
という調査研究事業が立ち上がったのです。

去年3月の私の一般質問で「インクルーシブ教育」調査研究事業が
立ちがることを確認した時のブログです。

インクルーシブ教育実現に向けて前進!!・一般質問2019
(https://ameblo.jp/airi-ryuen/entry-12445623883.html)


当時の教育長(東京都教育委員会のトップ)の答弁海外事例国内の状況等を調査するとともに、公立学校におけるより良い教育環境の整備に必要な支援策を、ソフト・ハードの両面から検討していく」とのことでした。

四角グリーン【東京都教育ビジョン】に「インクルーシブ教育システムの調査・研究の実施」が明記された キラキラ

東京都教育委員会は5年ごとに長期ビジョンを策定します。

2019年3月末に第4次(2019-2023年)が発表されました。

そして何気なくみていると、策展開の方向性として「インクルーシブ教育システムの調査・研究の実施」が、ちゃんと明記されていました笑い泣き

東京都教育ビジョン(第4次)(http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/administration/action_and_budget/action/vision2019.html)




<今回の報告>

その後、その調査研究がどうなったのか、2019年11月27日の都議会の文教委員会で質問しました。



インターネットにアーカイブがあります。私はこの日のトップバッターで聞いていますので、興味がある方は、こちらから視聴いただくことができます。


https://metro-tokyo.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=72


■質疑で明らかになったポイント
丸ブルーインクルーシブ教育の調査のため、東京都教育委員会はドイツ、フランス、アメリカの教育現場を視察した

丸ブルー国内では大阪箕面市の取組と、インクルーシブ教育を進めている神奈川県立高校を視察した

丸ブルー都内の区市町村の特別支援教育の現状調査を実施した


質疑内容を以下に詳しくご紹介しますね。

ブログ用に分かりやすく少し質問の文言を書き変えていますが、
ほとんどが質問のまんまです。(きちんとした議事録は都議会HPに出ています)

インクルーシブ教育って、そもそも何なの??

という方でもわかるように、解説しながらの質疑にしたので、
よかったら目を通してもらえたら嬉しいです。

ーーー質疑内容ーーーー
■現状:「通常の学級」は崖から子を突き落とすような厳しい選択肢

ダウン症があり知的発達がゆっくりな私の息子(ニコ)は今6歳で、年長さんです。20204月からは小学1年生です。世間ではよく「1年生の壁」と表現されたりしますが、スペシャルニーズのある子にとっては「なんとも壮絶な壁」だなと感じています。都議会議員になってから一貫して訴えている「インクルーシブ教育」を求めて通常学級を就学先として選ぶ事にしましたが、これは壁というよりは崖のようです。



(3歳児くらいに見えるけど6歳のニコ)

地元の教育委員会の方々、療育の関係者、保育所の先生など、息子に関わるほぼ全ての方から、通常学級は息子にとって「辛い場所」となる可能性が高く「学校生活を楽しめると思いますか?」と聞かれます。ほぼ全員がそうおっしゃるのだから、その通りなのだと思います。今の(インクルーシブ教育が実現されていない)状況で、息子が通常学級に通うということは、辛く苦しいものになる可能性が高いのでしょう。

私がもし「インクルーシブ教育の良さ」を知らなかったら、今の東京の現状では、特別支援学級か特別支援学校に就学を決めていたのではないかと思います。事実、息子の周りにいる同い年のスペシャルニーズのある子や、年上の子たちも、ほとんどが特別支援学級や特別支援学校に就学しています。

障害者差別解消法が成立して、親が通常学級を望めば、その意見は尊重されることに建前上はなっていますが、実際にはその選択をするには、親の強い強い信念がないとなかなか難しい厳しい選択肢だなと実感をしています。

今、私は着地できるかどうかもわからないのに、子供を崖から突き落とすというようなライオンの親になったような気持ちです。最愛の子供のことを一番に考えての選択にも関わらず、どうなるか分からないという大きな不安を抱えながら、毎日胃がキリキリ痛むような日々を過ごしています。


■そもそも「インクルーシブ教育」とは
私が「インクルーシブ教育」を推進するべきだと考えるきっかけとなったのは、息子を出産したアメリカのカリフォルニア州でインクルーシブ教育とインクルーシブな社会を体験してきたからです。

教育庁の皆様には釈迦に説法になってしまうかもしれませんが、そもそも「インクルーシブ教育って一体何なのか」ということを、今一度ここで確認させていただきたいと思います。

ここでは一旦、日本の文科省が定めている「インクルーシブ教育システム」のことは脇に置いておきまして、世界で一般的に使われている「インクルーシブ教育」についてお話しさせていただきます。



ダイヤオレンジ分離教育(日本の主流)

インクルーシブ教育の反対側にあるのが「分離教育」です。

・通常学級と物理的に違う場所
・特別なカリキュラムや支援を受けながら教育を受ける


今の日本では、ほとんどのスペシャルニーズのある児童生徒たちが、特別支援学級や特別支援学校といった「別の場所」で学んでいますので、世界の言葉で言えば「分離教育」が日本の主流であると言えます。


ダイヤオレンジ統合教育

インクルーシブ教育と、分離教育の間になるのが、「統合教育」とか「インテグレーション」と言われる教育です。

・通常学級に、スペシャルニーズのある児童生徒が混じって一緒にいて学ぶ
・しかし、教育内容は、通常学級のもの。スペシャルニーズ児のための特別なカリキュラムや支援はない(少ない)


今の日本で、通常学級を選ぶと、多くの場合はこの「統合教育」という状態になります

特別な支援を必要とする子が、特別な支援なしで、通常学級にいるという感じ。
実際問題、本人も先生にとっても大変な状況ですよね。

ダイヤオレンジインクルーシブ教育(世界の潮流)

・通常学級に、スペシャルニーズのある児童生徒が混じって一緒にいて学ぶ
・スペシャルニーズ児童生徒には、個別のニーズに合わせた特別なカリキュラムや支援が提供される。


特別支援教育 in 通常学級、という感じです。


■世界の「インクルーシブ教育」の潮流

世界では「インクルーシブ教育」が潮流になっています。

きっかけは1994年スペインで開催された「特別なニーズ教育に関する世界会議」に92カ国の政府および25の国際組織の代表者が話し合い批准された「サマランカ宣言」です。

「全ての子どもは、何らかの困難さもしくは相違を持っていようと、可能なさいはいつも共に学習すべきである。特殊学校、もしくは学校内に常設の特殊学級やセクションに子供を措置することは、まれなケースだけに進められる例外であるべきと示されたことが原点にあり、世界各地にその動きが広がっています。

[サマランカ宣言]
https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000098427
[世界会議について]
https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000110753
[翻訳]
https://www.nise.go.jp/blog/2000/05/b1_h060600_01.html



■「インクルーシブ教育の良さ」は?
インクルーシブ教育というと、スペシャルニーズのある子のための教育法のように聞こえますが、すべての子が共に学ぶという教育なので、すべての子のための教育で、すべての子にとって良いことがアメリカの研究でも明らかにされています。

ハーバード教育学大学院で、2016年8月に「A Summary of the evidence on Inclusive Education」という論文が発表されました。(https://alana.org.br/wp-content/uploads/2016/12/A_Summary_of_the_evidence_on_inclusive_education.pdf



右矢印スペシャルニーズ児童生徒にとって「インクルーシブ教育」の良さ

論文によると、(特別支援学校等の分離教育に比べて)インクルーシブ教育を受けたスペシャルニーズのある生徒の方が、卒業した後の「自立」や「一般就労」でより成功することが分かっています。

学校は「社会の縮図」でもあり、子どもが「社会性」を身につける場であります。

スペシャルニーズのある子が、自分が何をどのように助けてもらえば良いのか、周囲の人に説明して、必要とする助けを得るスキルを身につけることができます。また、逆に助けてもらうばかりではなく、自分なりにどうすればみんなの活動等に一員として参加し、力を発揮できるのか学ぶこともできます。

右矢印「スペシャルニーズがない児童生徒」にとってインクルーシブ教育の良さ

23%の児童生徒が学習面で良い効果がある。
他の子についても、勉強に悪い影響は「ない」ことがわかっています。

スペシャルニーズのある子の「違い」を受け入れ、自然な形で手助けしたり、一緒に活動することを学びます。

右矢印つまり、スペシャルニーズのある子とない子たちが、双方で「一緒に生きる」ことを学ぶことで、本当の意味での「ダイバーシティ&インクルージョン」を実現する大人が育ちます。



■別々に育って、大人になって急に手を取り合って「共生・インクルージョン」の実践するのは難しい

日本では2018年に法定雇用率が引き上げられました。

東京都では、スペシャルニーズのある人も含め就労に困難がある人が自分らしく働けるようにする「東京都ソーシャルファーム条例」の制定に向けて動いています。

(※「都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例」は2019年12月18日に可決成立しました。詳しくはリンクから)
http://tokyoto-koho.metro.tokyo.jp/files/koho/y2019/2019_148.pdf

しかし、スペシャルニーズのある方とない方が手を取り合って一緒に働くというのは、子ども時代を共に過ごしていないと簡単ではありません。周囲の人たちは、スペシャルニーズのある人たちに対して、どのように接したらいいのか、どこまで助けて、どこから本人任せたらいいのかなど、よくわからずに不安やプレッシャーを感じてしまいます。

スペシャルニーズのある本人も、どのように周囲に助けを求めたり、どのようにしたら自分らしく活躍できるかうまく伝えられなかったりすることもあります。

本当の意味でのダイバーシティ&インクルージョンを実現していくためには、子ども時代から共に学び育っていくことが、とても大切だと考えます。

学校を卒業後の社会では「インクルージョン」に向けて動き始めている中で、教育現場でも「インクルーシブ教育」が求められてくる時代に入ってきたのではないかと感じています。


■インクルーシブ教育調査研究事業についてキラキラ爆  笑キラキラ

そんな中、都教育委員会は、今年度「インクルーシブ教育システム調査研究事業」を行なっていることに対して、とても大きな期待を寄せております。

Q1. インクルーシブ教育調査研究事業では、海外を調査するとのことだったが、どこにいつ頃行きどのように行ったのか、概要について伺います。

(教育委員会答弁)
視察団をヨーロッパアメリカの2班に分け、令和元年9月に各班約1週間の視察を行った。

ヨーロッパは、ドイツのフランクフルト市フランスのパリ市を視察し、アメリカはロサンゼルス市を視察した。

視察先では、障害のある児童・生徒の教育の場として、通常の学校における通常の学級、児童・生徒を取り出して教育を行う学級やユニット、特別支援学校などがあった。


ロサンゼルスは私が出産しインクルーシブ教育の良さを体感した街のすぐ近くであります。アメリカでのインクルーシブ教育については、どのような視察をしてきたのか、具体的に報告を伺います。

(教育委員会答弁)
IDEA(個別障害者教育法)の規定に基づき、できる限り通常の学級で学習することを目指し、重度の児童・生徒もまずは通常の学級で受け入れるという動きがあった。学習内容は、その後に考えるべきこととされているということであった。なお、取り出しの授業を行うときは、取り出す理由についてIEP(個別化された教育プログラム)に記載しなければならないということであった。



■アメリカのIDEA(個別障害者教育法)とIEP(個別化された教育プログラム)について

IDEAはアメリカの連邦の法律で、その内容を米国滞在中に勉強しました際に、目から鱗がボロボロこぼれた、とても素晴らしい法律です。

公立学校に通う児童生徒のうち約12%がこの法律が適用されて、それぞれ個別の教育的ニーズに合わせたIEPと呼ばれる個別化された教育プログラムが作成されていました。

IEPを作成する際には、通常の学級の担任、特別支援教育の担任、支援員、療育担当者、必要に応じて医療関係者と保護者が集まり、1年に1度、細かな目標設定とそれを実現するためのプログラムが組まれておりました。

これを12%の児童生徒に対して行なっているので、相当の労力であります。それでもこの体制をとっていることの背景にあるのは、「学校を卒業した後」のことを考えているからだということでした。

つまりその子がインクルーシブな環境にありながら、個別の特別支援を受けて、最大限に学ぶことができれば、将来、その児童生徒が社会で自立したり、就労したり、活躍する人となる可能性が高いということなのです。

「教育」がその後の人生にどのように影響を与えるかというところから構築されているのが、とても印象に残りました。

続いて、ドイツやフランスでの視察についても具体的な報告を伺います。

(東京都教育委員会答弁)
フランクフルトでは、他の児童・生徒への関わりなどが良好の場合は、初等教育段階から通常の学級の中で授業を受けることができるということであった。

パリでは、一部の小・中学校には取り出し指導のユニット(ユーリス)があり、児童・生徒の状況によって、通常の学級で学習する時間があった。


■都内区市町村の実態調査
実際に東京でインクルーシブ教育を実践しようとなると、地域の小中学校を管轄している区市町村の協力が必須となってきます。都内の区市町村に対して、インクルーシブ教育に関するアンケートを実施したと伺っていますが、どのような内容だったのか伺います。

(東京都教育委員会答弁)
各区市町村が設置する小学校・中学校の通常の学級に在籍する障害のある児童・生徒の状況や、医療的ケアを要する児童・生徒の状況、支援の実施状況、区市町村教育委員会のインクルーシブ教育の実現のために必要と考える項目などについて、調査を実施した。現在、回答などの精査を行い、2019年度末の最終報告書公表のための準備をしているところである。


年度末に最終報告書を公表する準備をしているとうことですが、現在報告できる範囲でお答えいただけたらと思いますが、区市町村立の小中学校の児童生徒のうち「通常学級」に在籍するスペシャルニーズのある(障害のある)児童生徒の割合について伺います。

(東京都教育委員会答弁)
令和元年5月1日の状況では、区市町村立小中学校に在籍する生徒のうち、通常学級に在籍する障害のある児童・生徒の割合は、0.2%であった。


区市町村立の小中学校の通常学級にいるスペシャルニーズのある児童生徒は、0.2%ということで、約500人の児童生徒のうち1人がスペシャルニーズ児ということです。一般の子たちからすると同級生にスペシャルニーズのある子がいるのは、全くないわけではないけれど、珍しいという状況だということになるかと思います。

次に、スペシャルニーズのある児童生徒を100として見たときに、就学先としてどこが選ばれているのかについて伺いたいと思います。区市町村立の学校に在籍するスペシャルニーズ・障害のある児童生徒の在籍状況について、「通常の学級」・「特別支援学級」・「特別支援学校」の比率を、小学校と中学校それぞれについて伺います。

(東京都教育委員会答弁)
障害のある児童・生徒の都内の学校種別ごとの在籍状況は、
下三角小学校では、通常の学級が9%、特別支援学級が55.3%、特別支援学校が35.7%



下三角中学校では、通常の学級が4.8%、特別支援学級が58.5%、特別支援学校が36.6%



「分離教育」とされる特別支援学級か特別支援学校に在籍する児童生徒の割合は、小学校では91%中学校では95.1%にのぼり、ほとんどのスペシャルニーズのある児童生徒は分離されている状況にあることがわかりました。通常学級で学ぶ児童生徒についても、小学校だと9%だったのが、中学校のなると4.8%とがくんと減る実態が見えてきます。

次に、区市町村教育委員会が「インクルーシブ教育の実現のために必要と考える項目」について聞いたということですが、特に必要だと回答された項目について、多い順に5つ程度あげてください。

(東京都教育委員会答弁)
アンケートでは、インクルーシブ教育の実現に資すると思われる、過去に国が調査した29項目に準拠し、区市町村が必要と考える上位項目5個までを選択する回答方式としたその結果、区市町村がインクルーシブ教育システムを進める上で必要と考えている項目としてはー

約48%の自治体が「教員の専門性」
約42%が「スタッフ及び予算」
約37%が「教員の意識」及び「管理職のリーダーシップ」
約31%が「校内の体制整備」
約29%で「施設設備」





この結果から、通常の学級でスペシャルニーズのある児童生徒を受け入れるために「足りていないもの」というのが見えてきたと思います。

約48%とほぼ半数の自治体が「教員の専門性」、約37%が「教員の意識」および「管理職のリーダーシップ」との回答でした。つまり学校現場で働く教員や管理職の皆さんの「意識」と「知識」が、何よりも重要だというのが見えてきました。

■特別支援学校教諭免許の取得率について

特別支援学校の教員については「特別支援学校教諭免許」を取得することが重要なこととして進められてきまして、都教育委員会での熱心な取り組みもあり年々向上してきていて、特別支援学校においては80%に達したということは評価できます。



一方で、区市町村立の小中学校の教職員については、特別支援学級の先生であっても特別支援学校教諭免許の取得が必要とはされていないこともあり、文科省の学校基本調査によると、H30年の東京都の区市町村の小学校の「特別支援学級」の教職員のうち、免許を取得しているのは1463人のうち457人ということで約31%、中学校が848人中200人ということで約23%でしたした。特別支援学校での取得率に比べたら格段に低いです。





通常の学級の担任も含めた取得率についてはデータがないようですが、それを含めたら資格取得率はもっと低くなるのかなと推測されます。


自分自身がダウン症のある息子の親になってみて感じていることですが、スペシャルニーズ・障害と一括りにして話されることが多いですが、スペシャルニーズのある子たちの特性というのは本当に多岐にわたり、教員が一人一人のニーズに対応する力をつけるのは、並大抵の簡単なことじゃないなと感じております。

「特別支援学校教諭免許」を持たず、専門的な経験もない状況で、スペシャルニーズのある児童生徒を受け持つ教員の方々は、大変なご苦労や不安があるかと思います。

新任の先生が、通常学級を担当する前に特別支援学級を担当するなどという話を聞いたりもしますが、泳ぎ方を知らない人を荒波に放り込むようなことに近いように思えてしまいます。また保護者としては、担当してくださる先生の知識がないことは、学校へ通わせることへの不安要素として大きいものでもあります。したがって、インクルーシブ教育を進めるためには、「特別支援学級」及び「通常学級」の先生も含めて、特別支援学校教諭免許の取得をすることが重要な要件になるかと思います。

Q.そのためにも、区市町村立学校や都立学校の教員が働きながら免許を取得しやすくすることが必要です。取り組みを伺います

(東京都教育委員会答弁)
教育職員免許法の規定により、教員として三年以上の勤務経験を有する者は、一定の単位を修得することで特別支援学校教諭免許状が取得できる制度がある。この制度を活用し都教育委員会は、現職教員向けに 「免許法認定講習」を開設することで免許状取得の支援を行っている。

この免許法認定講習は、毎年度、夏季休業期間中に3週間程度、都内の大学に会場を設けて実施しており、講習では、専門の大学教授等が特別支援教育の五つの障害領域についての基礎理論や、領域ごとの専門的な知識、指導法等を講義している。夏休みを利用して免許を取得することができる支援を行なっているということでした。



Q9. この認定講習の実際の受講者数はどのくらいなのでしょうか、伺います

(東京都教育委員会答弁)
令和元年度(今年度)の夏に実施した特別支援学校教諭免許状取得のための免許法認定講習の受講者数法、区市町村立学校が525人、都立学校が359人である。


受講者を見ると、都立学校よりも、むしろ区市町村立学校の教員の方が、受講者が多いことがわかりました。区市町村の教員の皆様も「専門的な知識」の必要性を感じていることが、ここから推測されます。

ただこの夏休み期間の講習は、今以上に講座数を増やすことは難しいと伺っており、教員からすると日程が合わなかったりすると翌年まで待たなければいけないことになったりなど、専門的な知識を有する教員をググッと増やしていくには、さらなる工夫も必要な気もしています。

素人考えかもしれませんが、一部の授業についてはeラーニングを取り入れることで夏休みではない時期でも先行して学んでおくことができて、夏休みの時期に実際に講座に通う時間を減らすことで、全体ではより多くの受講者を受け入られるようにするとかなど、区市町村立学校の教員の免許取得率についてさらに向上するための工夫を検討していただけますよう、要望をさせていただきます。免許の取得率向上が難しいのであれば、それに変わる「教員の専門性」をあげていく取り組みを検討いただけたらと思います。これはインクルーブ教育推進にとって大切な肝となりますので、どうぞよろしくお願いします。

■介助員や支援員の配置について

先程のインクルーシブ教育の実現のために必要と考える項目に関するアンケートの2番目に多かったのが「スタッフ」で、42%の自治体が必要だと答えていました。

これはスペシャルニーズのある子に付き添うよう看護師、支援員・介助員の配置ということになると思います。

Q.現状では、区市町村の小中学校に配置する看護師や支援員や介助員等の配置に関して、どのような支援がなされているのか伺います

(東京都教育委員会答弁)
区市町村では、障害のある児童・生徒の支援のために、看護師や学習支援員、生活介助員などのスタッフを必要に応じて配置している。看護師については、国の補助制度がある。学習支援員や生活介助員については、区市町村独自の予算措置で配置している。


介助員や支援員を配置するにあたり、国や東京都からの財政的支援がなく、区市町村が独自で配置するとなると、どうしても区市によって格差が出てきてしまいます。

また区市町村から見ると、スペシャルニーズのある子が、都立特別支援学校にいけば予算がかからず、地元の学校で受け入れるとなると余分にお金がかかるのも、なかなか受け入れが進まない要因の一つにもなり得ます。

ぜひ東京都として、今後、区市町村が支援員や介助員を配置する際の支援の創設について検討していただけますよう、要望させていただきます。

⇨次のブログ
【東京インクルーシブ教育の現状②】箕面市の取組・今後「何ができるか検討」へ!
https://ameblo.jp/airi-ryuen/entry-12568241266.html

⇨最新情報
祝【インクルーシブ教育】が東京の長期戦略になりました!
https://ameblo.jp/airi-ryuen/entry-12568563974.html