値上げを成功させるコツとは? | 値上げができる店頭看板の考え方・作り方

値上げができる店頭看板の考え方・作り方

もしも今、みんながサボらず一生懸命働いていて、利益が思うように出ていないのだったとしたら、それは単価が低いのが原因です。思い切って値上げをしてみませんか? 店頭看板を通じて、値上げができる考え方をお教えします。

こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。



先日のブログ記事で、『 値上げがきっかけで、本当の問題が見えて来る! 』と言いました。

これを逆に言えば、『本当の問題がハッキリ見えていれば、値上げをして、再構築すればいい』とも言えるのです。

 

そのような具体例が、最近ありました。

 

それは、『QBハウスの値上げ』です。

 

『QBハウス』で問題となっていたのは、店舗スタッフさんの人手不足になります。

 

この問題は、他業種でも同じです。

 

しかし、ある一定の技術が必要とされるスタッフさんの求人募集は、さらに困難と言えます。

 

そこで、『値上げ分の利益』を使って、『スタッフさん不足』を解消しようと考えたのです。

 

 

<例えば>

 

美容室や理容室にしばらく働いていて、結婚や出産などで職場を離れていたスタッフさんは、現場復帰しようとしても、働く時間の制限やそれまでのブランクなどで、なかなか元の職場に戻れません。

 

そんな美容師さんや理容師さんに、『QBハウス』は、6カ月の研修を行うことにより、現場復帰しやすくしたのです。

 

しかも、その6カ月の研修の期間も給料を出します。

 

つまり、『値上げ分の利益』の大半は、ここに使われることになるのです。

 

 

 

現場復帰したいスタッフさんにとっては、とても嬉しい取り組みになります。

 

もちろん、お店にとってもスタッフさんの求人につながりますので、双方にメリットがある試みです。

 

 

 

『QBハウス』は、1996年のオープン時、『1000円ポッキリで髪が切れる』を、ブランド価値として登場しました。

 

その後、2014年の消費税が8%になる時に、『1080円(税込)』へ、1回目の値上げをして、2019年に、『1200円(税込)』へ、2回目の値上げをしたのです。

 

今回の2回目の値上げ率は、『約11%』としたため、当初の客数予測は、『客数6%の減少』を想定していました。

 

ところが実際は、『客数2%の減少』にとどまったのです。

 

これは、『1200円で髪が切れる』という値上げ後の価値が、『QBハウス』のブランド価値を大きく下げなかったからでしょう。

それよりも、しばらく職場を離れていたスタッフさんが、現場復帰できた喜びで、お店に活気が出たと思われます。

 


なぜなら、6カ月の研修は、技術の研究だけでなく、心構えや接客なども丁寧に教えるので、全く新しい気持ちで再スタートできるようになるからです。

 

 

 

スタッフさん不足という『本当の問題をハッキリさせて、値上げをきっかけに再構築する』、ここがしっかりできているお店は、値上げで失敗することはありません。

 

 

しかし、単に値上げをしただけなら、このような結果にならなかったと思われます。

 

この辺りが、値上げを成功させるコツと言えるでしょう。




最後まで読んでいただきありがとうございました。
伊丹芳則