値上げがきっかけで、本当の問題が見えて来る! | 値上げができる店頭看板の考え方・作り方

値上げができる店頭看板の考え方・作り方

もしも今、みんながサボらず一生懸命働いていて、利益が思うように出ていないのだったとしたら、それは単価が低いのが原因です。思い切って値上げをしてみませんか? 店頭看板を通じて、値上げができる考え方をお教えします。

こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。



最近、各業界において『値上げ』が盛んに行われています。

 

そんな中で、『値上げの失敗』として、『鳥貴族』があげられているのが気がかりです。

 

これって本当に、『値上げ』が原因なのでしょうか?

 

 

 

そこで、私の個人的な考えを伝えたいと思います。

 

 

 

1985年に創業した『鳥貴族』の当初の価格帯は、『150円、250円、350円の3プライス方式』です。

 

それを、コンセプトをハッキリさせるために、『全品250円均一』と改めました。

 

そして、1989年の消費税3%の導入時に、『全品280円均一(税抜)』と、『1回目の値上げ』をしたのです。

 

そして今回、2017年に、『全品298円均一(税抜)』と、『2回目の値上げ』となりました。

 

 


『1回目の値上げ』は、消費税3%分を入れると、『約15%のアップ』です。

 

それでも、『商品メニューのお得感の演出』により、その後、業績を伸ばしました。

 

 

では、今回の『2回目の値上げ』は、どうして失敗と言われるようになったのでしょうか?

 

 

それは、2019年7月期の売上予測を、『5%下方修正』したからです。

 

『2回目の値上げ率が約6%』になりますので、『客単価が6%アップ』と単純に考えると、『売上予測の5%下方修正』は、客数予測が『10%』減少する見込みと予想されます。

 

これが、『値上げの失敗』とみなされた要因でしょう。

 

 

 

確かに、『値上げがきっかけ』で、このようなことが起こったのは事実です。

 

しかし、原因はもう少し深いところにあるように思われます。

 

 

 

 

『鳥貴族』のブランド価値は、『お客様を貴族のようにもてなす』ことです。

 

それが、2014年7月に、ジャスダックへの上場を機に、出店を加速した辺りから、微妙にズレが生じて来たように思います。

 

 

それまでの『約360店舗』から、7年後に『1000店舗』の出店目標を示したからです。

 

しかも、『大阪、名古屋、東京の三大商圏』に集中して出店したため、自店競合が起こったと思われます。

 

また、出店には、『店長の育成』が不可欠でありますが、あまりにも急激な出店計画のため、追いついていないような感じです。

 

 

おそらく、既存店から店長候補の人員を多く登用したのではないかと思われます。

 

そのため、今までのような『お客様を貴族のようにもてなす』というブランド価値が、弱くなって来たのではないかと、推察するのです。

 

 

 

どうでしょうか?

 

 

 

これはあくまで私の個人的な考えです。

 

実際は、全く違うかもしれません。

 

しかし、『値上げがきっかけ』で、『値上げ後の価格に見合う価値なのかどうか』が、試されたのは事実です。

 

『値上げ』とは、お店の価値に対して、『お客さんの審判を真剣に受ける』と言ってもいいでしょう。

 

 

 

 

大手の企業であれば、規模を大きくすることは、ある意味宿命かもしれません。

 

だからこそ、新規店を含めて既存店も、『値上げ後の価格に見合う価値を提供しているのか?』を、強く意識しないといけないのです。

 

 

ただ、今回の事態が、『お客様を貴族のようにもてなす』ことに対するズレであったとしたら、『値上げ後のバージョンアップした価値』を提供すれば、解決すると思います。

 

 

そうなれば、『値上げ後の価格』でお客さんはまたやって来てもらえるはずです。

 

 

 

『値上げ』は、勇気と覚悟がいります。

 

時には、『値上げの失敗』と言われることもあるでしょう。

 

しかし、『値上げがきっかけ』で、隠れている問題が出て来た方が良い場合もあります。

 

一見、『値上げの失敗』のように見えることでも、『本当の原因』は他にあることが多いです。

 

それを、『価格だけの問題』と決めつけてしまうことが、一番危険なことだと考えます。




最後まで読んでいただきありがとうございました。
伊丹芳則