これまでもこのブログでは、
・学童保育においては、①学童保育で働くための資格(=放課後児童支援員)と②その配置基準(「支援の単位」ごとに、常時2人は職員を配置。そのうち1人は、「放課後児童支援員」であること)、児童一人当たりの面積基準等の基本的な事柄についての「法的拘束力のある基準」(=放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準。以下「運営基準」といいます。)が2015年度になってはじめて施行されたこと
・学童保育を実施する市町村が、学童保育についての条例を作成するにあたっての、法的拘束力ある基準が運営基準であること
・運営基準のうち、①学童保育で働くための資格と②その配置基準の二つだけが、運営基準の中で「従うべき基準」であり、他は「参酌すべき基準」であると、児童福祉法上規定されていたこと
・2015年度にできたばかりの運営基準について、2020年度から、上記①②のたった二つの「従うべき基準」が、児童福祉法上、「参酌すべき基準」に変わってしまったこと
を繰り返し、表現や切り口を変えながら書いてきました。
令和2年度の「放課後児童健全育成事業の実施状況」を読む〜配置基準参酌化の影響編 | 弁護士aikoの法律自習室 (ameblo.jp)
では、参酌化後、少数ながら、「有資格者なし学童保育」「ワンオペ学童保育」が出てきたことを指摘しています。
ところで、ブログ読者の皆様は、この「有資格者なし学童保育」「ワンオペ学童保育」の出現を法的にも容認する、「放課後児童支援員の資格と配置基準の参酌化」※が、
※市町村が条例を作るにあたり、「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」を十分に参酌したうえでなら、地域の実情に応じて従わなくてもよい場合を認める
https://www.cao.go.jp/bunken.../teianbosyu/handbook.html
地方分権改革・提案募集方式ハンドブックにおいて、「放課後児童支援員の資格と配置基準の参酌化」が、「成果」としてあげられていることをご存じでしょうか(同ハンドブックの8ページに、「地方分権改革による主な成果(提案募集方式導入後)」の成果として参酌化が挙げられています。)。
参酌化は、児童福祉分野に限らない様々な分野で、地方公共団体からの提案による、地方分権を進めるための制度(提案募集方式)によってなされたのです。
私は、いろいろなところで学童保育についてお話してきましたが、
職員配置が手薄になること
有資格者がいなくなること
そのこと自体を歓迎する人はいなかった、と思います。
わが子が子ども時代の多くの時間を過ごす環境の話として、人手が少なくても、子どもの発達等に関して、専門的知識のある人が「いない方がいい」と感じる方はいないのではないでしょうか。
その事態を追認する、「放課後児童支援員の資格と配置基準の参酌化」を「成果」と表現するのはどうなのでしょうか。
自治体によって、人手の確保が予算的に大変であったり、有資格者を増やすことに課題があることは確かにあるでしょう。
でも。
職員配置が手薄になること
有資格者がいなくなること
この事態を追認する「放課後児童支援員の資格と配置基準の参酌化」を「成果」と表現することは、あまりにも、子どもの豊かな放課後と就労の両立に悩む、利用者である住民の側を向いていないのではないでしょうか。
学童保育でワンオペ保育が容認されることの意味については、下記の記事をお読みいただければ幸いです。
学童保育はワンオペじゃ無理!ー放課後児童支援員の資格と職員数の「従うべき基準」についてー | 弁護士aikoの法律自習室 (ameblo.jp)