2018年4月28日、日本弁護士連合会主催のシンポジウム、

子育てにまつわるお金のこと〜子育て分野の社会保障を考える〜」に

学童保育分野の登壇者として参加してきました。

 

 

トップバッターで登壇されたジャーナリストの猪熊弘子氏の、

地域による「保育料」格差と貧困問題

についてのご報告を聴きながら。学童保育の保育料について書くには、保育所の保育料との比較の視点が大切、「ある市町村に住む同じ所得の人の負担が、保育所と学童保育で、どう変わるのか。そこにどんな地域差があるのか」といった視点が大切だな、、としみじみ感じました。保育料と言う切り口で、保育所と比較しつつ書くことで、学童保育への理解が広まるのではと思い、このブログを書いています。

 

まず、ブログのタイトルにある、「学童保育の保育料は応能負担?応益負担?」の答えですが。

 

1 国の制度設計としては、応能負担ではなく、応益負担

2 応益負担的な減免制度を取り入れている自治体は多いものの、減免となる対象や減免方法はまちまち

 

ということが言えると思います。

まず、1 国の制度設計としては、応能負担ではなく、応益負担 について。

 

保育所の保育料の場合、国基準ー(都道府県補助+市区町村補助 など)で利用者負担額が決まります。

 

そして、利用者負担については、世帯の所得の状況その他の事情を勘案して国が定める水準を限度として、実施主体である市町村が定めることとされています。各自治体がどれくらい補助ができるかが違うので、最終的な負担額は各市町村によって異なりますが(=保育料の地域格差はありますが)、基本的な制度設計が応能負担であるなかでの地域格差です。

 

しかし、学童保育の場合、運営費の負担の考え方は以下のようになっています。

受益者である保護者の負担割合が高く、国としての所得に応じた保育料の減免制度はありません。

 

そして、保育料の徴収の有無と額(厚生労働省による調査は、徴収なしから1万6000円以上までの区分でなされていますが、2万円を超える例もあります。また、市町村として額が決まっている場合もあれば、市町村としての額が決まっていない場合…同じ自治体の中でも放課後児童クラブごとに額が様々な場合もあります。)、保育料の徴収がある場合の減免制度の有無・対象・方法についても、各自治体により様々です。

 

2 応益負担的な減免制度を取り入れている自治体は多いものの、減免となる対象や減免方法はまちまち

 

まず(1)減免の有無。

厚生労働省の平成29年(2017年)放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(平成29年(2017年)5月1日現在)によると(※以下、注釈のないデータはこの実施状況からの引用です。)、

 

・放課後児童クラブを実施している市町村は1619

・実施市町村のうち、利用料の徴収があるのは1418

・利用料の徴収のある1418の市町村のうち、利用料の減免を行っているのは1199

 

というデータになっています。219の市町村では、利用料の徴収があり、利用料の減免もないので、これらの市町村では学童保育の保育料は全くの応益負担ということになります。

 

では(2)減免の対象。どんな場合に減免を受けられるのかですが、

減免の対象(複数回答。割合は減免を行っている市町村数に対するもの)

・生活保護受給世帯…893[74.5%]

市町村民税非課税世帯…438[36.5%]

・所得税非課税・市町村民税非課税世帯…122[10.2%]

就学援助世帯…301[25.1%]

ひとり親世帯…409[34.1%]

・兄弟姉妹利用世帯…664[55.4%]

・その他市町村が定める場合…465[38.8%]

・その他クラブが定める場合…92[7.7%]

 

この減免の対象を見ると、生活保護受給世帯では減免の対象となっている場合の方が多いものの、市民税非課税世帯や就学援助世帯であっても、減免を受けられない場合の方が多いことが分かります。

 

そして、(3)減免の方法としては、

減免の方法

 ・徴収しない…824(68.7%)

 ・半額のみ徴収…600(50.0%)

 ・所得に応じて複数段階で減額…776.4%)

 ・その他(最大○○円免除等)…648(54.0%)

 

となっています。保育所の保育料のように、所得に応じた応能負担を実施する自治体は、学童保育ではごくわずかであることがわかります。所得に関わらず定額の負担が原則で、一定の減免対象に該当した場合に(全額なのか半額なのか最大◯○円なのかといった違いはありますが)定額の減免を受けられるケースが多い、と言えると思います。

 

最後に、「ある市町村に住む同じ所得の人の負担が、保育所と学童保育で、どう変わるのか。そこにどんな地域差があるのか」という点に関し、具体例を出しておきたいと思います。

 

平成29年度 横浜市子ども・子育て支援新制度 利用料(保育料)(月額) によると、市民税非課税世帯の2号(3歳児〜)子どもの認可保育所の保育料は、第1子、標準時間で2100円となっています。

 

一方、「神奈川県の学童保育 2017年度資料集」(発行 神奈川県学童保育連絡協議会)によると、横浜市の学童保育の保護者負担金の平均は17,200円。横浜市では、市民税非課税世帯への減免は、2500円です(各放課後児童クラブの努力で、独自に 2500円を超える額の減免を実施しているクラブは有りますが。)。


就学前には保育料としては2100円で(保育所でも、保育料とは別に実費徴収(通園送迎費、給食費、文房具費、行事費等)もあり得ますが、実費徴収があり得るのは学童保育も同じです。)、丸一日子どもを見てもらえた。

 

それが、就学して学童保育に入ると、長期休みを除けば基本は放課後のみなのに、減免を受けても1万円以上の負担となる。これは入所の申請をはじめから諦めるレベルの厳しさだと思います。

 

(なお、横浜市には、学童保育(放課後児童健全育成事業)とは別に、全ての小学生を対象とした放課後キッズクラブ、という事業もあります。


こちらの事業では、利用区分を午後5時までの利用区分1と午後7時までの利用区分2に分け、利用区分2での利用が可能なのは留守家庭世帯(保護者が労働等により、放課後に当該児童が帰宅する時間帯に家庭にいない世帯等)になっているようです。


そして、利用区分2の利用料は5,000円/月市民税所得割非課税世帯、生活保護受給世帯については2,500円/月のようです。


全児童対策事業と放課後児童健全育成事業(学童保育)の「一体的な運用」をどう考えるべきかについては、学童保育の保育の質や家庭支援の機能の問題とも絡んで様々な課題がありますが、本稿では触れません。)