バンスリのクラスと場所と時間が自由に与えられるだけじゃなくて、
寂しさも埋めてもらっていたのだろう。
帰省していたお嫁さんと一緒に、子供が数日前に帰ってきてからは、
ずっと私にべったり。
お陰で練習時間は急激に減って、
気が逸らされる。
無条件に抱きついてきてくれる子供への愛おしさが増していく一方で、
自分がここに居る目的を失うのが怖くて。
無邪気に愛してくれる子供は可愛くても、嫌がらずに料理を教えてくれるママも、自然に受け入れてくれる家族も、
私の家族では無いのだから。
と、当たり前の事を何度も自分に言い聞かせながら、
バンスリの元に必死で帰る。
この家を離れるには良いタイミング。
もう一度、バンスリに向き合い直すために。
もっとストイックになる為に。
暖かい家族の一員から、1人の旅人に戻ろう。
静寂の中で、吹けば吹くほどに一体化出来る。一日中でも。
一人旅に、これ程適した楽器は無い。
つまり、寂しくて寂しくて。