一人旅の寂しさと戦うように、
肩に食い込んだ荷物の重さにくじけそうになりながら、バスに乗り込む。
7時間かかるデリーからリシケシ。
250ルピー(450円くらい)。
タクシーなら7000円はする。
私も旅に慣れたものだと感心する。
昨晩も練習であまり寝ていないので、 硬いシートにぐったりと身を任せる。
しばらく、寝たり、寝れなかったり。
昨日のクラスの録音を聴きながら。
半分くらい来てから、
ふと窓から外を見ると、
なんとも、のどかな風景。
牛の糞を乾かしている姿。
藁で出来た小屋。
猿。
インドに猿がいる事さえ忘れていたデリーでの生活。
"バンダル!(猿)"と呟いて、
思わず猿に見とれる。
初めてインドに来た時に、タクシーの窓から見た風景を思い出した。
馬車も、リキシャから溢れた人も、象も、牛さえも。何もが新鮮で嬉しかった。
私は旅人なんだ。
何かの祭りの日なのだろう。
黒い布で全身を覆った女性達が家族連れで次々バスに乗ってくる。
どの宗教なのか気になる。
途中で通った村は、イスラム教徒ばかり。少し前にグルジの家族とイスラム教徒の話をしたこと、現在起きているイスラム国の戦争。色々頭をよぎったが、そんな事が信じられないくらい、のどかな人達に見える。
休憩では、チャナプリとレモンソーダを頼む。
久々に、悪い油のローカルフード。
ノンシュガーと注文したレモンソーダが、マサラ味で苦笑いする。
ソーダにマサラを入れる。
インドの、そんな事さえ忘れていた。
リシケシのバススタンドで、
初めてリシケシを訪れた、英語の不自由なスペイン人カップルを捕まて、オートリキシャをシェアする。
インドが初めてとゆう彼女に、少しだけリシケシの説明をしてあげる。
帰ってきた。
無事に到着した事をビシャルに報告するために電話した瞬間だけ、デリーの家族が恋しくなるが。
気にかけてくれる人がいるだけで、暖かい。
もう寂しくない。