保護猫施設で不妊手術 | トピックス

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2025年5月13日 読売新聞オンライン

徳島のNPO 設備備え開始

 

7月から一般捕獲にも対応 

 徳島市津田浜之町のNPO法人「あわねこ保育園」が運営する保護猫シェルターで、野良猫に不妊・去勢手術を施す「スペイクリニック」が始まった。手術設備を備えたシェルターは県内初といい、捕獲後に動物病院を探して運ぶ必要がなくなる。同法人は7月から、一般の人が捕獲した猫の手術も引き受ける予定。(吉田誠一)

 

シェルター内で手術台の準備をする井上園長(徳島市で)

 

 同法人メンバーが捕獲して手術後に現場に戻す「TNR活動」では、毎月約60匹、年間800匹ほどを保護しており、繁殖期前の春先には月80匹にもなる。

 

 これまでは動物クリニックに不妊・去勢手術を頼んできたが、1日1、2匹が受け入れの限界だった。TNRの一斉実施日には20~30匹を捕獲することもあり、メンバーは交通費自腹で車を運転し、大阪の動物病院まで運ぶこともあった。

 

 同法人は昨春オープンした県内初の開放型シェルター内に、流し台を備えた手術室(6畳)と準備室(3畳)を備えた。閉院するかかりつけのクリニックから「ぜひTNRに役立ててほしい」と手術台や便検査に使う顕微鏡などを譲り受けた。手術前に捕獲器を置いて鎮静剤を打つ棚や毛をそる作業台は購入した。

 

 不妊・去勢手術は、約50年の豊富な経験がある獣医師・山口武雄さん(77)(神奈川県)に依頼した。山口さんは全国から依頼されて手術に赴いており、猫は現在年間約5000匹に施術しているという。

 

 山口さんは同法人のシェルターに毎月2回訪れ、計約60匹に施術する予定。同法人のスペイクリニックについて「不幸な猫を減らすのに不妊・去勢手術は大きな効果があり、保護した施設で手術できるのは理想的だ」と話す。

 

 4月にはクリニックを試験運用した。山口さんの訪問に合わせて11~13日に一斉TNRを実施し、3日間で1匹数分ずつ計48匹に手術をしてもらい、それぞれの片耳に手術済みのしるし「Vカット」の切れ込みを入れた。

 

 7月から始める一般受け入れは、ワクチン接種とノミ・ダニの駆除込みで、雄、雌とも1匹6500円と格安の設定にする見込み。クリニックの本格稼働により現在の1・5倍の匹数を施術できる見込み。

 

 同法人の井上智美園長(51)は「私たちのTNRだけでは野良猫の増加に追いつかない。一般の人の捕獲相談にも応じたい。猫を保護する輪が地域に広がれば」と願う。

 

 

 同法人は12日~6月30日、クラウドファンディング(CF)サイト「レディーフォー」で500万円を目標に一般分の手術費用を募る。井上園長は「費用の負担なく手術を受けられるようにしたい」と協力を呼びかけている。