2025年5月5日 メ~テレ
まだ寒さが残る3月、名古屋市の駐車場の植え込みに、生まれたばかりの子犬5匹が身を寄せ合っているのが見つかりました。こうした犬や猫は、その後どうなっているのでしょうか。
保護された当時の子犬の写真と、押収されたドッグフード(4月、愛知県警中村署)(メ~テレ(名古屋テレビ))
名古屋市内の駐車場に5匹の子犬を置き去りにしたとして、20代の女性が動物愛護法違反の疑いで4月に逮捕されました。
子犬たちはまだ歯も生えていませんでした。
逮捕された女性は置き去りにしたことを認め、「飼育にかかる費用や、施設に引き取ってもらう手数料がなかった」と話したということです。
動物愛護法は犬や猫などを置き去りにすることを禁止していて、違反者には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
この女性は、名古屋簡易裁判所で罰金10万円の略式命令を受けました。
子犬たちは元気です
この子犬を保護したのは名古屋市の動物愛護センターでした。名古屋市千種区の平和公園の一角にあります。
名古屋市の平和公園にある動物愛護センター(メ~テレ(名古屋テレビ))
子犬たちはいま、ボランティアのもとで元気に育っています。今はちゃんと歯が生えてドッグフードも食べているそうです。
いずれ、ボランティアによる譲渡会などを通じ、飼い主を探していくということです。
子犬たちを直接取材することについて、動物愛護センターは「そっとしてあげてほしい」とのことでした。
置き去りはほかにも
もう育てられない」と引き取りを頼む人
飼い主が「もう育てられない」と、センターに引き取りを頼んでくることもあります。
その理由は「自分が年を取ってしまって面倒をみられない」「攻撃的で何度もかまれた」「自分の子どもが生まれ、ペットまで手が回らない」といったものが。
「かわいいと思って子犬を飼い始めたけれど、こんなに大きくなると思わなかった」という理由もあったといいます。
こんな相談を受けた時、名古屋市動物愛護センターはまず、本当に飼い続けることができないのかを確認します。
どうしても飼い続けられないということなら、他に飼ってくれる人がいないか、飼い主自身で探してもらうよう促します。
新しい飼い主探しが難しい場合は、「人とペットの共生サポートセンター」を紹介しています。(電話052-681-2211、平日午前10時~午後4時半)
名古屋市獣医師会が市の委託を受けて運営していて、ホームページ(https://www.dog-cat-support.nagoya/)などを通して新しい飼い主探しに協力しています。
引き取りに手数料を取る理由
それでも飼い主が見つからない場合、動物愛護センターが引き取ります。
手数料は、犬が8000円(生後3カ月までは2700円)、猫は5000円(生後3カ月までは1700円)です。
こうして引き取った犬は、2024年度は32匹、2023年度は21匹、2022年度は19匹いました。
手数料を設けているのは、飼い主が安易に手放すのを防ぐためです。引き取った後のえさ代や病気治療の費用は、手数料とは比較にならないほどかかります。
飼い主が何度も噛まれたとして手放した柴犬。「柴犬は人気ですが、もともと番犬や猟犬で警戒心が強く、根気強いしつけが必要です」(動物愛護センター)(メ~テレ(名古屋テレビ))
名古屋市動物愛護センター所長の山岸純二郎さんはこういいます。 「ここは最後のとりで。年老いた犬や重い病気の犬など、ここで一生を終える犬も少なくありません」
殺処分はいまも?
保護の現場から伝えたいこと
名古屋市動物愛護センターに、犬や猫を飼おうとする人に一番伝えたいことを聞きました。
答えは、「飼う前に、最期まで飼い続けられるかよく考えてほしい」ということです。
所長補佐の松本文美さんは「今は健康で生活に余裕があっても、この先何が起こるか誰にもわかりません。犬も猫も20年近く生きることがあります。ご自身が人生の節目を迎えた時などにペットとどのように連れ添っていくのかをきちんと考え、ご家族ともよく話し合って飼う決断をしてください」といいます。
母猫とはぐれ、名古屋市動物愛護センターに保護された子猫(同センター提供)(メ~テレ(名古屋テレビ))
いろいろな支援がある
名古屋市動物愛護センターが保護した犬や猫は、約70のボランティア団体・個人の助けを受けて育てられています。
ボランティア団体は譲渡会などを開いて飼い主を探しています。
飼い方に困っている人への支援もあります。
動物愛護センターは、これから犬や猫を飼おうとする人や、犬の問題行動で困っている人、高齢の犬や猫を飼う人向けの教室も開いています。
愛護センターが保護する「マイマイ」(雌)は「喘息で衰弱し、治療にとても時間がかかった」といいます。人懐こい性格ですが、まだ飼い主が見つかっていません(メ~テレ(名古屋テレビ))
また、名古屋市は「ふるさと納税」の制度を使い、「目指せ殺処分ゼロ! 犬猫サポート寄附金」を募っています。
センターが引き取った犬や猫のえさ代や治療費、ボランティアの支援、野良猫の避妊・去勢手術などに使われます。返礼品はありませんが、年間の活動報告書を送っています。