2024年5月19日 読売新聞オンライン
徳島の開放型シェルター
接客や世話 貴重な人手
徳島市津田浜之町に4月オープンした県内初の開放型保護猫シェルターを、学生ボランティアが支えている。放課後などに駆けつけ、接客や猫の世話などに奮闘。運営するNPO法人「あわねこ保育園」のメンバーは、学生に感謝しながら「野良猫の過酷な実情を知り、解決策を考えるきっかけにしてもらいたい」と期待している。さらに活動を維持・強化するため、クラウドファンディング(CF)での協力を呼びかけている。(吉田誠一)
同シェルターは県営住宅跡に地域貢献施設として開設。毎日午前11時~午後8時、有料で入場することができ、現在猫が約80匹いる。猫との触れ合いを求めたり、譲り受けようと考えたりする入場者が多く訪れ、その対応や広いスペースを掃除する手間が増えた。同園のメンバーら大人十数人に加え、中高生や大学生のボランティア計約10人と運営。貴重な人手となっている。
ボランティアの作業は多岐にわたる。猫の餌やり、トイレ処理、入場者の受け付け、猫グッズ販売に加え、合間の作業リストは12項目もある。猫が近くで日なたぼっこをする大きな窓を拭き上げ、猫の毛などが落ちた床を掃除し、洗濯物を干してたたむ。猫たちにブラシをかけ、口周りを丁寧に拭くなどの世話もする。
鳴門中1年の福池葵さん(13)は、母親が同園を支援していて関心を抱いた。「シェルターには病気の猫もいるが、人に感染しないし元気。ストレスを与えないように気をつけている」と話す。
入場者の受け付けは、通信制高校1年斉原 光嬉 さん(15)らが担当。オープン後まもなくから手伝い、入場者から料金を受け取ったり、猫グッズを紹介したり。「様々な猫がおり、それに合わせた餌を間違えないよう特に注意している。猫のことをもっと学びたい」と意欲的だ。
園長の井上智美さん(50)は「ボランティアの子どもたちは、よく頑張っている。まずは保護猫の世話を楽しみ、不幸の連鎖を止めるには何が必要かを、考えるようになってほしい」と見守る。まだボランティアの手は足りないといい、参加を募っている。
活動維持・強化へCF 6月3日まで
同園は2018年に結成され、負傷、衰弱した野良猫を保護し、不妊手術をして現場に戻す「TNR」活動を中心に活動。昨年9月には過去最多の約200匹を保護し、これまで340匹を超える猫に手術した。
シェルターの入場料やグッズ販売の収入もあるが、高齢や病気の猫を保護するケースが増え、高額の治療・薬代など医療費が園運営費の7割に上るという。
今年もCFサイト「レディーフォー」で、6月3日まで300万円を目標に募集。18日現在、約250万円集まっているが、目標額に達しなければ返金する必要があるため、同園は協力を求めている。問い合わせは、各種SNS(あわねこ保育園で検索)のDMから。