2023年9月8日 RCC中国放送
コロナ禍によって家に滞在する時間が増え、ペットを飼い始めた人も多いそうです。一方で、引き取り手のいないイヌやネコもいます。動物たちの引き取り手を見つけようと、広島県の動物愛護センターが生まれ変わったということで、取材しています。
8月にリニューアルオープンした「広島県動物愛護センター」。多くの人に気軽に訪れてもらおうと、「土日・祝日」に開館しています。土曜日は、広島県が、日曜日と祝日は、民間の動物愛護団体が運営しています。
この日、開かれたのは、譲渡会です。新しい施設では、イヌとネコの部屋を分けて、スペースにゆとりを持たせました。自分にあった動物に出会える機会を提供することが狙いです。
前の広島県動物愛護センターは、1980年4月に開所しました。イヌとネコが、次々に運ばれていきます。
職員
「家で可愛がられていたイヌだと思う。近寄ると、寄ってくる」
当初、施設では、年間およそ2万頭が、殺処分され、処分数が全国ワーストの年もありました。その後、動物愛護団体が、イヌ・ネコの引き取りを始めたことがきっかけで、大幅に減少しました。いまでは、病気からの回復が見込めないなどの場合は、やむを得ず安楽死させていますが「事実上 殺処分のない状態」となっています。
一方、2023年3月までに、広島県のセンターで収容されたのは、年間で1273頭と依然として多い状況が続いています。このうち、大半を占めていたのは、「野良犬や野良猫」でした。
広島県動物愛護センター 柳本慎治所長
「なぜ増えるかと言ったら、(イヌ・ネコを)捨てる人がいる・(不妊)手術して屋内で飼わない・マイクロチップをつけていない・野良犬猫にエサを与えないなどしていかないといけない」
「その子の命が終わるまで、最後まで飼い飼うことができるか考えて、飼ってもらいたい」
広島県は、正しい動物愛護の知識を講習会などを通じて伝えながら、個人譲渡を増やすための取り組みを進めています。
もともと飼っているイヌとの相性を確かめようと、尾道市からやってきた家族もいました。8月のオープン初日から、3週連続でセンターを訪れているそうです。1匹ずつ向き合いながら譲渡を受けたいといいます。
尾道市から
「飼えなくて手放してしまうイヌがいるのであれば、帰る環境がある家で、迎え入れてあげたい。何かしら助けてあげられる命があれば」
江田島市に住む男性は、直感を信じて、生後2か月のイヌを引き取りました。
江田島市から
「アパートに住んでいたが、実家に帰ってきた。イヌが飼える環境もある。いろいろな場所を散歩したい」
譲渡を受けることは、新しい家族ができること。散歩や食事などの時間や経済的な余裕、病気やケガのことも考えなくてはなりません。
8月、センターで県が譲渡したのは、イヌが12頭、ネコが7頭とまだ多くありません。広島県は、動物愛護の大切さを多くの人に知ってもらい、個人への譲渡率を目標に近づけたい考えです。(2030年:26% 2019年度:9%)
広島県動物愛護センターの所長は「飼うことに大きな責任はあるが、飼うメリットもたくさんある講習会などで、体験談などを紹介できたら」と話しています。
そんななか、広島県動物愛護センターからイヌを引き取った家族に会いにいきました。
外を元気よく歩く小さな子犬…。生後5か月を迎える、メスの日向(ひなた)ちゃんです。7月、広島県の愛護センターから尾道市・生口島に住む家族に引き取られました。
最初は、少し緊張した様子でしたが、家具のにおいを嗅いだり、部屋をかけまわったりして、すぐに打ち解けました。
里親の平田江理さんは、幼いころから大の動物好き…。SNSなどを通じて、イヌ・ネコの保護や譲渡活動に関心を持つようになりました。毎朝、決まった時間に海が一望できる場所を散歩しています。
里親 平田江理さん
「常にお兄ちゃんのお尻から離れない」
オスのさん太くんも、平田さんが2021年、愛護センターで引き取ったイヌでした。もともと野良犬で、産まれた直後、センターに保護されたそうです。初対面の人には、怖がりな一面もありますが…。
平田江理さん
「最初から膝の上に乗ってきてすごい人懐っこい。家では、全然吠えない。トイレもすぐ覚えた」
日向ちゃんとさん太くんが、最近ハマっていることを聞きました。
平田江理さん
「おもちゃが大好き。2匹で奪い合いしている。日向は、さん太がとったのを取り返すのがすごく上手」
平田さんは、「譲渡犬の成長記録」を多くの人に知ってもらいたいと、SNSでも発信しています。
平田江理さん
「(家族が)すごく明るくなった。毎日笑っているし、会話がこの子たち中心の会話になる」
しまなみ街道が通る自然豊かな、生口島…。平田さんは、人とペットが気軽に楽しめる施設を島に作りたいと話します。
平田絵里さん
「誰でも使えるドッグランを作りたい。島には犬が入れない施設もあるので、もっと楽しく集まれるような施設を」
イヌやネコの里親がもっと増えるよう、これからも発信してきたいとしています。