2022年6月1日 FBS福岡放送
耳に切れ込みが入っている猫は、桜の花びらのように見えることから、『さくらねこ』と呼ばれています。不妊手術を受けた印なんですが、野良猫を増やさない活動として、ボランティアたちが理解を呼びかけています。
5月16日、福岡県筑後市で捕らえられたオスの野良猫は、鼻にある模様から『はなひげ』と名づけられました。
捕獲した松藤美由紀さんです。
野良猫に去勢や避妊の手術をする活動に参加しています。
■松藤美由紀さん
「ネコは好きだけど増えてほしくないというのもあると思う。だから、増やさず、みんな仲良く暮らしていければと。」
野良猫は鳴き声や排せつ物を迷惑がられ、捕獲された後、殺処分されることもあります。
松藤さんは、そうした命を救いながら、野良猫の数を増やさないよう活動しています。
去勢や避妊の手術をした野良猫の耳に切れ込みを入れて、地域で『さくらねこ』として受け入れてほしいと呼びかけています。
捕まえ(Trap)、手術を施し(Neuter)、元の場所に戻す(Return)、TNR活動です。
■松藤さん
「手術をすることで最後まで穏やかな人生を過ごしてほしい。不幸なネコを増やしたくないというのが、ネコ好きとしては一番の願い。はなひげちゃん、さくらねこになろうね。もうけんかせんとよ。」
松藤さんとともに野良猫の保護活動をしている、鶴佑季子さんです。2年前にボランティア団体を設立しました。
野良猫をめぐってはエサやりへの批判がありますが、鶴さんはゴミ捨て場を荒らさないなどのメリットもあるといいます。
■ネコの保護活動を行う鶴佑季子さん
「ネコが嫌いな人たちが一番メリットがあること。『餌をやるな』というこれまでのやり方は何の解決にもなってなくて、餌をやらないとしても周りのえさ場に散らばって迷惑がかかる。そこで餌をやらないと、今度はゴミをあさっちゃう。」
しかし、厳しい言葉を投げかけられることもあります。
■鶴さん
「地域に話しに行って『偽善者』と言われたり。」
批判を受けながらも、できる限り殺処分される野良猫を減らしたいと、TNR活動に取り組んでいます。
■鶴さん
「ネコのことばっかりと言われるけど、これは人のこと。人からしか相談受けないので、そのためには、いま頑張って野良猫の現状を変えていく。」
みやま市の『どうぶつ基金病院みやま』です。
TNR活動に賛同し、1か月に約400匹の手術をしています。
筑後市で捕獲された『はなひげ』もこの日、手術を受けました。
麻酔で寝かされた後、約5分で終わり、『さくらねこ』となりました。
■鶴さん
「命を助けることに対して、『何やってんだよ』とか『拾ってくるなよ』とか、そういうことを言わない社会にしていけたらと思う。さくら耳の子たちは『一生一代の命』だから、大切にしてあげようねっていう、気持ちで見守っていただけたらなと思います。」
手術の翌日、『はなひげ』を元の場所に返します。
野良猫は、迷惑がられることも多いです。
ただ、人間の都合で子どもを産めなくなった『さくらねこ』は、かけがえのない命について深く考えるよう問いかけているようにも見えます。