上毛新聞 3/24(金) 6:01配信
殺処分される猫を減らそうと、群馬県は
新年度、地域住民が協力し、不妊去勢手
術をして適切に世話をする地域猫活動の
普及に取り組む。今月完成した県内版の
ガイドラインを活用するほか、県獣医師会
とも連携。ふるさと納税を財源に活動を定
着させ、飼い主のいない猫を減らし、命を
救うことを目指す。
活動は、猫に不妊去勢手術をして繁殖を
防ぐのが前提。県は獣医師会の協力を得
て、活動に取り組む地域の手術費用を無
償化する方針だ。
飼い主のいない猫対策支援事業として、
新年度予算に280万円を計上した。4月1日
以降、県のふるさと納税のメニューに「ぐ
んまの動物愛護推進」を追加し、全国か
ら寄付金を募る。
県が作ったガイドラインは地域猫活動に
加え、屋内飼育や不妊去勢を呼び掛けた
り、災害時に必要な備蓄品やしつけなど
の内容を盛り込んだ。県動物愛護センタ
ー(玉村町)はじめ各地の関連事務所で
配布するほか、ホームページで閲覧でき
る。
今後、県内で猫による苦情やトラブルが
起こっている地域を調べて主な対象とし、
住民と行政、ボランティアが一体となった
地域猫活動を働き掛ける。県食品・生活
衛生課は「飼い主のいない猫の数を抑制
することは大きな課題だ。地域猫活動の
拡大を図り、殺処分の削減につなげたい」
としている。
地域猫活動に取り組んでいる「まえばし
地域ねこの会」の関沙織代表は、新たな
県事業を評価した上で、「取り組まざるを
得ない活動であり、いつか終わりが来な
ければならない活動だ」と指摘している。
県が地域猫活動の普及を本格化させる背
景には、猫の殺処分数が犬と比べて多い現
実がある。県食品・生活衛生課によると、20
15年度に県内で処分された猫は1339匹で、
472匹だった犬の2.8倍に上る。犬は前年度
比で34%減少したのに対し、猫は3%増加
した。
15年度の1339匹のうち、生まれて間もな
い子猫が77%を占めることも特徴だ。無秩
序な餌やりなどによって、繁殖が繰り返さ
れてしまうことが背景にある。飼い主のい
ない犬は狂犬病予防法や県条例で捕獲、
収容ができるのに対し、猫には法的根拠
がないことも、殺処分が減りにくい一因と
なっている。茨城県では、犬も含めた殺処
分減少に向け、昨年12月に「犬猫殺処分
ゼロを目指す条例」が成立、施行されて
いる。
特定の飼い主がいない猫に対し、不妊去
勢手術を行った上で、複数の地域住民で
餌やりや排せつ物の処理に取り組み、管理
して共生する活動。無責任な餌やりや繁殖
など、野良猫に対するトラブルを減らす効果
が期待できる。1990年ごろ、横浜市磯子区
内の住民らが自主的に始めたとされる。