人間の良き相棒、犬と猫。
一般社団法人ペットフード協会(東京)が
行った2015年の調査では、国内で
犬約991万匹、猫約987万匹が飼われる。
一方、環境省によると15年度、
殺処分された犬と猫は計約8万3千匹。
兵庫県内の殺処分数は年々減少するが、
淡路島では屋外飼育や放し飼いが十分に
改善せず、野犬や野良猫の存在が関係者を
悩ませる。島外でほぼなくなった子犬の
持ち込みも続く。(上杉順子)
県の動物管理施設は県動物愛護センター
(尼崎市)と三木、龍野、但馬、淡路の
4支所。
政令、中核市の神戸、姫路、尼崎、西宮は
それぞれ独自に管理センターを持つ。
15年度に県内で捕獲され収容された犬は
224匹。このうち淡路島内は51匹で
23%に上る。
県内で捕獲以外の理由で引き取られたのは、
飼い主からが275匹(島内55匹)、
飼い主以外からの持ち込みが420匹
(同56匹)。島内は特に飼い主が
持ち込む子犬が多く、県内31匹のうち
24匹と約8割を占める。
これに対し、猫は島内で成猫64匹、
子猫160匹を収容。それぞれ県内全体の
7%、5%で犬より比率は低いが、
県全体に占める人口が2%の地域としては
高く、直近の8年で犬の収容数が
3分の1以下に激減したのと比べると
横ばい傾向だ。
県動物愛護センター淡路支所(淡路市)の
齋藤竜彦課長は「犬猫との距離感が昔の
ままの人が少なくない。繁殖期に
『かわいそう』と雄犬を放したり、
避妊手術をせずに雌犬を外につないだり。
猫も屋外飼育が目立つ」と指摘。
阪神間でほぼ消えた野犬も、島内では
まだ確認されているという。
また、犬のように所有者の登録制度がない
猫の対策も課題になっている。
愛護団体「淡路ワンニャンクラブ」
(洲本市)の事務局を担う中村美穂さん
(70)は「活動を始めた20年前と
比べると犬の保護は明らかに減ったが、
猫はあまり減った実感がない」と話す。
捨て猫や、飼い主不明の子猫が多く、
同クラブは今年1~11月に犬11匹、
猫187匹を保護。
犬10匹、猫165匹を譲渡したが、
現在も猫約40匹を世話する。
会員の1人は「猫好きなので頑張って
いるが、先が見えない」と疲れを見せる。
猫をめぐっては、神戸市で昨年12月、
野良猫の繁殖を抑え、殺処分の減少を
目指す条例案を市会が可決。
獣医師団体や地域団体が協議会を設立し、
公費で不妊・去勢手術を行う。野良猫の
繁殖抑制に特化した条例は全国初といい、
市担当者は「収容数の減少を図り、
一方で譲渡数も増やしていきたい」とする。