毎日新聞 10/30(日) 8:33配信
山口県下関市は、猫の殺処分を減らし、
飼育のルールを守ることで人と猫が
共存できる町を目指し、冊子「ねこの
適正飼養に関するガイドライン」
(A4判、22ページ)を製作した。
飼い主の責任や野良猫を見守る
ルールなどをイラスト付きで分かり
やすく解説している。5000部作製し、
市動物愛護管理センター(同市井田)や
各支所などで配布している。【上村里花】
市動物愛護管理センターが
2014年度に収容した猫は875匹で、
うち9割以上の798匹が、飼い主や
譲渡先が見つからず殺処分された。
センターが開所した09年度は収容
1535匹、うち殺処分1502匹で
頭数はほぼ半減しているが、
依然として殺処分の割合は高い。
また、交通事故や病気など路上で
死んだ猫も673匹以上(14年度)と
なっており、センターは正しい知識の
啓発により、少しでも殺処分や事故死を
減らしたいと、初めてガイドラインを
策定した。
分かりやすく解説されている
=山口県下関市で、上村里花撮影
市の実態調査(13年度)によると、
屋外に居る猫の数は約7400匹と
推計される。センターにはほぼ毎日、
猫に関する苦情が寄せられるが、
そのほとんどが、野良猫への餌やりや
野良猫の被害に関する苦情だという。
過剰な餌やりによって頭数が
増えすぎると、結果的に生存競争が
激化し、栄養不足や病気で死ぬ猫が
増えることになる。センターの
小野洋一郎センター長は「無責任な
餌やりがどういう結果を引き起こして
いるか理解してほしい」と話す。
冊子では、野良猫を見守るルールと
して、まずは室内飼育するか譲渡先を
探すことを考え、路上で「地域ねこ」と
して見守る場合は、
▽不妊去勢手術をし、これ以上
増えないようにする▽餌は決めた
時間に与え、残った餌は片付ける
▽餌やりは近隣住民に迷惑の
かからない場所に固定する--などを
示している。市では13年度から猫の
不妊去勢手術費用の補助について、
飼い猫だけでなく、野良猫にも対象を
拡大している。
また、飼い猫についても、
終生飼育など飼い主の責任や
室内飼育の推奨など「正しい猫の
飼い方」を分かりやすく解説している。
小野センター長は「冊子を活用し、
猫の習性や繁殖行動について正しく
理解していただくことで、少しでも
殺処分を減らすことができれば」
と話す。問い合わせは
市動物愛護管理センター
(083・263・1125)。