「かわいそう」と野良猫拾って多頭飼い、飼い主が高齢化で入院したら… | トピックス

トピックス

身近で起こっている動物に関する事件や情報の発信blogです。

読売新聞(ヨミドクター) 10/25(火) 12:10配信

 

飼い主の高齢化に伴う入院や困窮を

理由に、多数の飼い猫が自宅に

置き去りにされたり、保健所に一度に

持ち込まれたりする問題が深刻化している。

置き去りにされ、保護された猫たち

(今年2月、福岡県春日市で)=渡辺さん提供
 一匹でも多くの命を救おうと、

ボランティア団体などが、インターネットで

寄付を募るなどして新たな飼い主を

探している。

 「甘えん坊でかわいい猫だけど、

問い合わせがなくて……」。福岡市近郊で、

猫7匹の世話をしている

ボランティア団体メンバーの渡辺恵理子さん

(38)は、保護から半年たっても、新たな

飼い主が見つからないことに焦りを

感じている。

 今年2月、福岡県春日市のアパートに

住んでいた高齢の女性が、認知症で

施設に入所した。独り暮らしで身寄りも

なく、部屋には飼い猫10匹が残された。

 野良猫に去勢や不妊手術をして

「地域猫」として世話をしている

「ねこともの会」は、6年前からこの女性と

関わっていた。当初は数匹だったが、

繁殖を繰り返して32匹に増え、

女性も対処に困っていたという。同会が

譲渡先を探すなどして10匹まで

減らしていた。

 市から連絡を受けた会のメンバーが

女性宅を訪ねると、悪臭のする散らかった

部屋で、やせ細った猫がいた。10匹の

うち2匹は保護から程なくして死んだ。

 会では飼えなくなった猫の引き取りを

していないため、渡辺さんらメンバーを

中心に有志約10人が「おき去り猫支援

チーム福岡」を作り、例外的に

引き受けた。

 餌代や治療費を賄うため、

インターネットで小口資金や寄付を募る

「クラウドファンディング」を活用し、

約70万円を集めた。

 ホームページやチラシを作って

新たな飼い主を探しているが、

引き取られたのは1匹だけ。

問い合わせもない状態が続いている。

半年分として集めた資金も底を

つき始めた。渡辺さんは「生涯大切に

してくれる飼い主のもとで幸せに

なってほしい」と話す。

 一方、同県飯塚市の主婦、

有働美香さん(46)も、仲間2人とともに、

飼い猫23匹の世話を手伝っている。

今年4月、80歳代の女性と60歳代の

息子2人の家族が生活困窮に陥り、

飼い猫34匹の飼育が難しくなったと

保健所から連絡を受けた。

有働さんもブログやフェイスブックで

餌代などの協力を呼びかけ、

飼い主の自宅に通って世話を

続けている。

 4匹は死に、7匹は猫カフェに

引き取られた。現在、残りの飼い主を

探している。有働さんは「この家族は

野良猫をかわいそうに思って拾った

ところ、多頭飼育の問題が発生した。

まずは野良猫を生み出さないように、

飼い主が適正な飼育をしてほしい」と

話している。(後田ひろえ)

引き取り巡り自治体苦悩

 2013年施行の改正動物愛護管理法

では、去勢や不妊の手術をせずに

生まれた場合など、安易な理由での

犬や猫の引き取りを、自治体が拒否

できるようになった。しかし、実際には

引き取らざるを得ないケースが散見

される。

 福岡市の家庭動物啓発センターには、

「介護が必要な高齢者が猫を十数匹

飼っているが、世話ができていない」との

相談がヘルパーを通じて寄せられた。

去勢手術などはされておらず、

持ち込みを拒否できるが、センターには

近隣住民から苦情が寄せられており、

引き取りに向けた準備を進めている。

同市では、14年にも飼い主の急病を

理由に猫60匹が持ち込まれている。

 ある自治体の担当者は「誰が犬や

猫を何匹飼っているか、実態はつかめて

いない。また、近隣の苦情があれば

対応せざるを得ない」と打ち明ける。

 「ねこともの会」の松山かをり代表は

「猫は年に3回ほど出産し、一度に数匹

産むため増えやすい。飼う場合は

不妊・去勢手術をしてほしい。また、

高齢の飼い主は急な事情で飼えなく

なったときに備え、あらかじめ

引き取り手を探しておくことが望ましい」

と呼びかけている。