「オオカミ輸入」構想、鳥獣食害の対策に一石 「人を襲うのでは」不安も | トピックス

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西日本新聞 10/18(火) 11:25配信

「オオカミ復活」は是か非か-。

シカやイノシシによる農林産物の食害に

悩む福岡県添田町の住民グループが、

国内では絶滅したオオカミを輸入して

山林に放ち、食害を減らそうとの構想を

提案している。23日には、町内で

オオカミを用いて有害鳥獣を駆除する

方法や安全性について考える

「オオカミフォーラム」を企画。過疎化に

伴い、シカやイノシシの異常な増加など

里山崩壊に悩む地域の対策として

一石を投じる。

 フォーラムは町の河川保護に

取り組む住民グループ「アカザを守る会」

(武貞誉裕会長)が一般社団法人

日本オオカミ協会(静岡)と連携して

開催する。

 輸入オオカミを野に放つ構想は、

2011年に大分県豊後大野市が同様の

状況にある自治体に協議会設置を

呼び掛けたが、安全性や生態系への

影響が懸念され「市民の理解が

得られていない」などの理由で

実現していない。

 「人を襲うのでは」との不安も

根強い中、フォーラムでは、米国と

ドイツから招く研究員ら4人が

「オオカミは人を襲わない?」

「オオカミの復活と自然生態系回復」

などのテーマで講演する。1995年に

シカの増加による生態系の悪化に

悩んでいた米イエローストン国立公園で

放した結果、シカが激減して植物群落や

ビーバーが戻ってきた事例や、

欧米ではオオカミによる人的被害は

ゼロに等しい現状を報告する。

 構想の背景には食害の深刻化がある。

町が最も被害を受けているシカの

捕獲数は、2010年の99頭から14年は

396頭と4倍に。猟友会による駆除や

わなも増設しているが、農林産物被害は

例年4千万円台後半に上るという。

 同町の英彦山にもかつて

ニホンオオカミが生息し、イノシシやシカの

天敵だったとされる。守る会は将来的に、

ニホンオオカミと祖先が同じとされ、

中国などに生息するハイイロオオカミの

導入を目指しており、武貞会長は

「食物連鎖の頂点が復活すれば、

自然環境のバランスは回復する。

輸入オオカミの導入は地域の山や川を

守る一つの可能性として挑戦する

価値がある」と強調する。一方、

環境省は「家畜被害や人を襲った場合の

補償など課題も多い。現状では検討

できる状況にない」としている。

 フォーラムは23日午後2時~4時半、

添田町民会館で。定員200人で

入場無料。