東京新聞 2016年8月16日 夕刊
東京都港区の東京メトロ銀座線
青山一丁目駅で十五日、盲導犬を連れた
会社員品田直人さん(55)
=世田谷区=がホームから線路上に転落し、
電車にひかれて死亡した事故で、
視覚障害者の関連団体からは
「盲導犬や白杖(はくじょう)を持った
人がいたら、積極的に声を掛けてほしい」
との声が上がっている。
赤坂署によると、品田さんには
視覚障害があった。事故当時はお盆時期で、
ホーム上に人影はまばら。駅のカメラには
ホームの端付近を盲導犬を連れて歩き、
徐々に線路方向にずれて行く品田さんの
姿が映っているが、周囲の人が注意を
払う様子は確認できなかったという。
盲導犬を育成する公益財団法人
アイメイト協会(練馬区)は
「視覚障害者は周りの状況が分かりにくい。
危険と感じたら『ストップ』や『危ない』
と大きな声で知らせてほしい」と強調する。
駅係員は「白線の内側に下がってください」
と呼び掛けていたというが、同協会は
「視覚障害者はどこが白線か分からない」と
訴える。
一方、ホームには点字ブロックがあったが、
一部が支柱と重なっていた。東京メトロは
この点字ブロックは、端に近寄らないよう
警告するために設置されており、上を
視覚障害者が歩くことを想定していないと
いう。都盲人福祉協会(新宿区)の
笹川吉彦会長は「障害物を避けるように
点字ブロックを敷設している駅もある。
もう少し配慮があってもいいのでは」と
話している。