飲食店やタクシーなどを利用する際、
補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)の
同伴を拒否された人が約6割に
上ることが、日本補助犬情報センター
(横浜市)のアンケートで分かった。
補助犬の使用者47人が回答した。
身体障害者補助犬法により同伴拒否は
禁じられている。
使用者は「法成立がゴールではない。
理解を広めたい」と訴えている。
<盲導犬を乗車拒否した運転手
「座席が毛で汚れ、次の客に迷惑をかけた」>
<盲導犬を乗車拒否された男性に
同行して分かったこと>
厚生労働省によると、国内の補助犬
使用者は約1120人。情報センターは
昨年9~11月、補助犬使用者でつくる
団体の会員らにアンケートを実施した。
2015年10月までの5年間に、
飲食店や小売店などの施設、
航空機やバスなど公共交通機関で同伴を
拒否された経験を尋ねた。回答のあった
47人のうち、いずれかで同伴拒否を
体験したと回答したのは31人
(66%)だった。
不特定多数が訪れる施設別では、
病院や薬局など医療関係の施設を訪れた
43人のうち20人(47%)が
拒否された体験があると回答。
施設別で最多だった。飲食店が
45人中20人(44%)
▽温泉・ヘルスセンターなどが16人中5人
(31%)の順で多かった。
交通機関では、タクシーが40人中12人
(30%)で最多。
05年、身体障害者補助犬法の
完全施行から1年半までの期間を対象に
行われた同様の調査では、44人のうち
26人(59%)が同伴拒否を経験しており、
その後も補助犬への理解が広まって
いないことがうかがえる。
補助犬法だけでなく、4月施行の
障害者差別解消法も障害を理由にした
不当な取り扱いを禁じており、国土交通省や
厚労省のガイドラインは、同伴拒否が
差別的取り扱いに当たるとしている。
調査に携わった同センター理事で、
自らも介助犬使用者の木村佳友さん
(55)=兵庫県宝塚市=は
「補助犬法施行から時間がたっても
同伴拒否が減っていない。
障害者差別解消法も施行されており、
障害者の社会参加を進めるよう理解を
広めたい」と話している。
【釣田祐喜】

航空などの交通業界関係者に補助犬の
役割を伝えたセミナー=東京都大田区で
2015年10月27日午後4時1分、
釣田祐喜撮影