盲導犬お断りで「嫌な思い」9割…「私の目」受け入れて  | トピックス

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05.09 17:00東京新聞

東京・銀座に、盲導犬を連れた客を
国内で初めて受け入れたとされる
レストランがある。

それから半世紀余り。

盲導犬の育成団体が使用者に
アンケートしたところ、入店拒否などで
九割が嫌な思いをしたことがあると
回答した。

この多くが受け入れを義務付けた法律の
施行後といい、関係者は
「もっと理解が広がってほしい」と話している。 
(森川清志)

 「いらっしゃい」。

金曜日の夜、銀座四丁目のインド料理店
「ナイルレストラン」。

店主のG・M・ナイルさん(71)が
笑顔で八方順子さん(61)を迎えた。

席には藤山明子さん(38)=仮名=
が先着。

二人は目が不自由で、盲導犬を連れている。

それぞれの勤務先から地下鉄で来た。

にぎやかな店内で、盲導犬はテーブルの
下に入り、おとなしく伏せの姿勢。

二人は名物のカレーを楽しみ会話を弾ませた。


食事を楽しむ視覚障害者の足元で
静かに待つ盲導犬=東京都中央区銀座の
ナイルレストランで(中嶋大撮影)


 盲導犬を育成するアイメイト協会によると、
ナイルが初めて受け入れたのは
一九六一年ごろ。五七年に国産初の
盲導犬を育成した塩屋賢一さん(故人)が
ナイルさんの父と知り合い、
盲導犬の使用者が来店するようになった。

ナイルさんは「米国にいたことがある
父は盲導犬を知っていて大歓迎した」
と振り返る。

 その後、徐々に理解は進んできたが、
入店を断られるケースはまだ残る。

ここ数年でも、八方さんは弁当店で
「犬はだめ」、自治体のプールでも
「駐輪場につないで」。

すぐに管理部門へ連絡するなど改善を
実現させてきた。

「自分とみんなのためだから訴えて
いかないと」との思いがある。

 藤山さんは二十六歳の時、自分で危険を
避けて歩く白杖(はくじょう)から、
目として働く盲導犬に替えた。

歩行が楽になり、行動範囲が広がった。

だが、入りたい店に「盲導犬です」と
説明しても「犬はちょっと」と言われ、
「またか」と思うことも。

 ナイルさんは「うちもペットの犬は
断るけど、盲導犬は目の不自由な人にとって
体の一部。

断るなんてとんでもない」と残念がる。