毎日新聞2016年3月11日 西部朝刊
九州・山口で大規模災害が起きた際、
被災地に取り残されたペットなどの
動物を保護する
「九州災害時動物救援センター」が、
2016年度に大分県九重町に
創設される。
普段から被災地へ送る餌や
ケージなどの物資を備蓄し、
災害時には九州・山口全域から
動物を収容・保護する。
大分県によると、都道府県の枠を
越えた動物救援施設は全国で初めて。
東日本大震災では、東北3県で
津波により3000匹を超える
犬が死んだ。
ペットを失って心身に異常をきたす
「ペットロス症候群」に陥る
飼い主が相次いだ。
東京電力福島第1原発事故で
飼い主が避難し、残されたペットや
家畜が感染症で死んだり、
野生化・繁殖して生態系が崩れたり
する問題も起きた。
同センターは津波被害が想定されず、
高速道のインターチェンジ(IC)
に近い九重町を設置場所に選んだ。
一般社団法人「九州動物福祉協会」が
九州電力のキャンプ場の一部
(約3万平方メートル)を借り上げ
既存の管理棟やバンガローを改築。
平時はリタイアした盲導犬や警察犬を保護する。
一方、大規模災害時には
九州地区獣医師会連合会などの
支援を受け、獣医師が被災した
動物の救護にあたる。
当面は犬と猫50匹程度を想定し、
家畜などの受け入れも将来検討する。
大分県獣医師会の麻生哲会長は
「万が一の時は九州全体で被災地の
動物を救う態勢を整えたい」と話す。
【西嶋正法】