犬を保護するシェルター 運営は「ふるさと納税」が支え | トピックス

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大西健丞・sippo|更新|2015/10/14



ふるさとチョイス上のキャンペーンページのバナー 



下世話な話で恐縮だが、
「殺処分ゼロ」を目指す
ピースワンコ・ジャパンの
シェルター運営には、
それなりの費用がかかっている。

 2014年度の年間支出は
約1億1450万円。

内訳は、200頭近くいる保護犬の
フード代や医療費などに
約1800万円、健康管理やしつけを
担当する獣医師やトレーナーの
人件費に2500万円、
保護施設の建設に3700万円
といった具合だ。

質の高い飼育環境を維持しながら、
1頭でも多くの犬を保護するには、
安定した資金の確保が欠かせない。

 現在その柱になっているのが
「ふるさと納税」である。

ふるさと納税は、応援したい自治体に
寄付をすると、2000円を除いた
全額が税金から控除される制度。

所得に応じた上限はあるが、
ほぼ自己負担なしで寄付が
できるうえに、地域産品などを
お礼の品としてもらえることが
人気を集めている。

広島県神石高原町が昨年、
寄付金の使途としてNPOや
地元自治会を指定できる仕組みを
設けてくれたので、私たちも
「あなたの『税金』を殺処分ゼロのために」
と呼びかけて寄付を募っている。

 今年も9月の動物愛護週間を皮切りに、
ふるさと納税のポータルサイト
「ふるさとチョイス」でキャンペーンを
始めた(http://www.furusato-tax.jp/gcf/48)。

掲げたのは、私たちが広島県の犬の
殺処分をなくす目標と定めた
来年6月までに、保護犬舎を3倍の
600頭規模にし、譲渡センターも
新たに開設する計画だ。

 これまでの取り組みの成果や
資金の使途を詳しく説明し、
お礼の品には有機無農薬の米を
はじめとする地域の特産品を用意した。

開始から3週間余りで、同サイト経由の
寄付申込額は約2250万円。

それ以外のルートを含めると
約3200万円に達した。

昨年のペースを上回り、
寄付が集中する年末を迎える前
としては、たいへん大きな支持を
いただいている。

 寄付者のみなさんからは、
「ふるさと納税で活動資金を集める
アイデアはすばらしい。
年金生活なので少額しかできませんが、
毎年参加したい」
「(殺処分ゼロの)本格的な
プロジェクトが立ち上がり、
実績も積み上がっていて、
心から嬉しく思います」などの
コメントが数多く寄せられている。

特に目立つのは、
「神石高原町の取り組みが全国に
広がることを願っている」
というものだ。

小さな町の挑戦にこれだけ注目と
期待が集まるのは、
かつてないことだろう。

 今回のキャンペーンでは、
他の保護団体との連携による猫の
保護にも初めて協力を呼びかけた。

ペットを愛し、共生を願う多くの
人の共感を得られるよう、
きちんと成果を出していきたい。



大西健丞(おおにし・けんすけ)
1967年生まれ。
NPO法人
「ピースウインズ・ジャパン」
代表理事。
広島県神石高原町にシェルターを
設け、捨て犬の保護・譲渡活動に14
取り組むプロジェクトを運営している。