
みなさんは現在ペットショップなどで
販売されている仔犬や仔猫は、
生まれて何日目で親元から離されて
ガラスケースにならべられているのか、
知っていますか?
今はペットショップというよりも、
大型のホームセンターや
スーパーなどの一角に生体販売の
ショップが入っているスタイルが多く、
買い物ついでに子ども連れの
お客さんの楽しみのような
スペースになっているところも
多いですね。
仔犬や仔猫は幼ければ幼いほど
人の心をつかみやすく、
売りやすいのでしょう。
現在の法律では生後45日を
過ぎれば販売できることに
なっています。
生後45日というのは、
実は親や兄弟と触れ合い遊ぶことで
適度な社会性を学ぶ大切な時期でも
あり、身体的にもちょうど
生後40日すぎ位から母親からの
移行免疫が減り始め、
免疫力が低下する時期でもあるので、
生まれた環境から引き離すには
適切とは言えないのです。
すでに欧米先進国の多くで8週齢、
つまり生後56~62日までは
仔犬を生まれた環境から
引き離すことを法令で禁じて
いるのですが、残念ながら日本では
犬猫を生き物としてより、
売り物としてあつかう法律が
まかり通ってしまう国なので、
このたった2週間くらいの
引き延ばしを全国一斉に気持ちよく
施行できなかったのです。
2013年に全国からの
パブリックコメントにより環境省が
改正した動物愛護法には
「生後56日を経過しないものについて、
販売のためまたは販売の用に
供するために引き渡し又は展示を
してはならない」
という条例が新設されましたが、
動物取扱業者らが作る業界団体や
一部の国会議員が強く反対した結果、
この本則の56日つまり8週齢が
16年8月までは45日という付則が
つけられてしまいました。
16年8月それ以降も、
法律に定める日まで49日と
読み替えられこの付則が各自治体の
取り組みの足かせになっているらしいのです。
東京都や大阪府もこの規制を
提案しながらも国の定めた、
いつ実現するのかわからない
経過措置のために実現しない
ままになっているのです。
そんな中、札幌市の取り組みは
なぜ実現したのでしょう?
札幌市は市動物愛護管理条例案として、
生後8週齢までは親と子を一緒に
飼育することを「動物の福祉の向上」を
目的としてこれを犬猫の飼い主に対して
義務づけたのです。
すべての犬猫の飼い主に義務付けたので
繁殖業者やペットショップも
例外ではないということです。
札幌市が10月の施行をめざす
今回の市動物愛護管理条例案は、
「飼い主の努力義務」として
この条例をさだめたことが画期的で
、議会のすべての会派が賛成の意向だと
いうことですので、全国に先駆けて
やっと当たり前の条例が成り立ちそう
だということですね。
真の動物の福祉の向上を目指して
飼い主の努力義務の中身は?
生後8週齢の取り組みは、
販売を目的とする繁殖業者の
取締りにも期待を持てるものです。
その意味からすると、
飼い主の努力義務として
この条例が施行されたとしても、
劣悪な環境で一生に何度も
ぼろぼろになるまで子供を出産させ、
適切な運動も病気の治療もしないで
必要がなくなったら処分する
という現実がなくならないと
意味がありません。
札幌市では、販売業者にたいして
「犬猫等健康安全計画」として
生後何日目まで自分のところで
育てているか具体的に記入,
提出するよに指導していますが、
これも施行後は生後8週間以上と
書き直すように指導する
予定だそうです。
どうかその中身が健全で適切な
広さの専用スペースでゆったりと
育てること、母犬の健康に常に
配慮し、無理な繁殖を避けることという
人道的で、ある意味当たり前の
もっと細かい条例に発展して行って
もらいたいものですね。
飼い主の努力義務は他に、
犬の場合は排泄を済ませてから
敷地外に連れ出すよう勤め、
ふんなどの処理用具をもつこと、
特定犬・・・土佐犬、ドーベルマン
などにかんしては飼い主以外が容易に
近づけないようにすること、
人への危害防止の義務に違反した
場合の罰金強化、等が挙げられています。
また、札幌市では飼育できなくなった
犬猫の引き取り、保護、返還手数料、
放し飼い、糞の不衛生などの
罰金の検討も盛り込んでいます。
しかしここで疑問なのが飼い主への
責務に対しては具体的に罰金制度まで
検討しているのに動物取扱業者に
対してはあくまでも努力義務で
あることです。
せっかく全国初の条例にふみだす
ならば、飼い主側の責任だけでなく、
業者に対して細かく観察し、
反則したら厳しい罰金なりを
考えるべきではないでしょうか。

まとめ
犬猫生後8週齢規制への
道のりは札幌市の施行で、
なるべく早く日本全国に
広がってほしいものです。
動物愛護法に積極的な一部の議員は
視察や勉強会をひらき、愛護団体や、
獣医師などと協力して意見を
取りまとめ議会に提出する取り組みを
してくださっているようですが、
まだまだ日本の現状では当の犬猫の
命の重さを一番に考えてすぐに
行動に移すことが困難なようです。
そもそも、生体販売
そのものについてもっと議論すべき
ですし、飼い主の努力義務に
もうひとつつけくわえられるなら、
「ペットショップやインターネットで
安易に犬猫を購入してはならない」
というものを入れてほしいです。
すべての条例のまず先にあるのは
日本の国から犬猫の殺処分という
恐ろしい現実をなくすことだと
思うからです