2015.11.13 08:00産経ニュースより
9月末、千葉県市原市内の
動物病院敷地内に、子猫を含む
計25匹の猫が置き去りに
されているのが見つかり、
全ての猫に引き取り手が現れた。
しかし、これは新聞やテレビ報道が
影響したとみられる幸運な例で、
保護された猫はそのまま殺処分
されてしまうケースも少なくない。
千葉県では、さまざまな取り組みで
殺処分を減らし、かつての全国ワースト
1位は返上したものの、
現在も多くの無責任な飼い主がいる。
毎日6匹の計算
千葉県衛生指導課によると、
千葉、船橋、柏の3市を除いた
県内の平成26年の猫の殺処分数は、
2291匹。
18年の7985匹に比べて大幅に
減少したが、現在も毎日6匹以上が
処分されている計算になる。
環境省の過去5年間の統計資料によると、
21、22年は全国ワースト1位。
最新の25年もワースト8位だ。
3市を除く県内で保護されたり、
警察署などに届けられたりした猫は、
保健所などを通じて、
県動物愛護センター(富里市)や
同センター東葛飾支所(柏市)に
集まる。
何らかの事情で猫や犬を飼えなくなった
飼い主が、同センターを直接訪れる
例もある。
千葉県は、
センターに集まる猫や犬を減らそうと、
引き取りを18年に有料化した。
23年には値上げし、
現在は大人の猫は3080円、
子猫は610円。
さらに、飼い主に2週間の再考期間を
与え、他に手立てがないか自助努力を
求め、安易には引き取りに応じていない。
しかし、センターに集まる猫は、
公園などで捨てられた
「飼い主のいない猫」が多い。
そこで、地域全体が飼い主になって
不妊・去勢手術を施し、「1代限りの命」を
全うさせる「地域猫活動」を県も支援。
24年度以降、約100匹の手術費用を
予算に計上した。
千葉県衛生指導課の担当者は
「県の事業がモデルになって効果が
実証されれば、各市町村が助成金を
出すことにもつながる」と期待をかける。
愛護センターに集まった猫を殺処分から
救おうと、里親捜しの譲渡会も積極的に
行われている。
19年には、対象が猫の保護団体にも
広がったことで譲渡数が大幅に増え、
1022匹と前年比5倍以上になった。
現在も、年間で500匹以上の猫が、
愛護センターから個人や団体に
譲渡されている。
譲渡されずに一定期間経つと、
殺処分の対象になることが
避けられないが、
「人に飼われたことのない子猫が多い」
(千葉県衛生指導課の担当者)。
健康状態が悪かったり、
人に慣れていなかったりして、
育てるのが難しいのが理由という。
同課の担当者は
「センターの収容量も
限られているのに対し、
数がまだまだ多すぎる。
千葉県は大幅に減らしたとはいえ、
まだまだ殺処分数では全国上位」
とした上で、
「殺処分ゼロを達成した自治体もあり、
これまで以外の形でも対応していきたい」
と話す。
捨て猫スポット
千葉県内では、
「捨て猫スポット」も存在している。
毎年60匹程度が捨てられる
同県袖ケ浦市の袖ケ浦公園で、
猫の保護、管理をしている
ボランティア団体の代表、
大島三郎さん(62)は
「今年もすでに、40匹以上が
捨てられている。
公園に住み着いてしまう猫をめぐり、
さまざまな問題も起こっている。
捨てる人さえいなければ、
何も問題は起こらないのだが…」
と憤る。
市原市で25匹の猫を捨てた
会社員の男(48)は出頭し、
市原署が動物愛護法違反容疑で
書類送検した。
調べに、「近所の住民から猫の
臭いなどで苦情があり、
手放さざるを得なかった」と
供述したという。
同公園に住み着く猫の寿命は、
5、6年という話も聞いた。
どんな理由であっても、
手放された動物の将来は厳しい。
命を飼うということには、
大きな責任が伴う。(山本浩輔、)