
県動物愛護管理センター(神山町)で
殺処分される予定だった雄の雑種犬が、
「災害救助犬」の適性を見いだされ、
新たな飼い主と共に認定に向けた
訓練に励んでいる。
南海トラフ巨大地震に
備えるとともに、
動物愛護精神を醸成して殺処分を
減らすのが狙い。
県が、候補犬と飼い主を探していた。
訓練中の犬は「モナカ」。
生後半年だった6月に阿南市で
保護され、センターに収容された。
当初は殺処分を待つ収容棟に
入れられたが、人懐っこい性格で
運動能力に優れていることに加え、
音を怖がらないことから、
救助犬の候補になった。
県内に災害救助犬は4匹が登録
されているが、都道府県が主体となって
育成に取り組むのは全国で初めて。
モナカは8月に板野町川端の訓練施設
「ノイマンドッグスクール」に預けられ、
救助犬としての適性を検査した結果、
見事合格。犬のトレーナーを目指して
徳島市の専門学校に通っていた
岡本沙南さん(18)=上板町瀬部=
と出会い、9月に岡本さんが引き取った。
岡本さんとモナカは現在、週1回、
スクールに通う。
「おいで」「座れ」「登れ」といった
基本的な指示を覚えさせ、
シーソーやスロープなどの器具を用いた
訓練も行っている。
新田邦善所長は「のみ込みが早い上に
落ち着いており、素質は抜群。
ただ、やんちゃな面があり、
それをコントロールできるかどうか」。
スクールでの訓練期間は1年。
救助犬にはジャパンケネルクラブ
(東京)の公認が必要だが、
基準が高くて難関となっている。
このため県は、独自に災害救助犬の
認定基準を策定する方針。
モナカは同基準での2016年度末の
合格を目指す。
認定後は要請に基づいて
災害現場に出動し、がれきに埋もれた
被災者の捜索などを行う。
専門学校を辞めてモナカを引き受けた
岡本さんは「トレーナーを目指す上で
これほど貴重な機会はないと捉え、
思い切って引き受けた。
後悔しないよう頑張りたい」
と話している。
【写真説明】災害救助犬を目指して
訓練に励む雑種のモナカ。
殺処分前に適性を見いだされた
=板野町川端のノイマンドッグスクール