家庭動物に関する法律基準、対応の甘さ
虐待・遺棄に関する刑罰は
定められてはいるものの、
ショッキングな形で表に出ない限り、
ことさらに事件として扱われ
罰せられるケースはわずかです。
遺棄された犬の飼い主を捜して
罰したという話は、
殆ど耳にしません。
下記に『動物の愛護及び管理に関する
法律(以下、愛護法と省略)』を
一部抜粋してみました。
「第六章罰則」より
「第44条 動物をみだりに殺し、
または傷つけた者は、
2年以下の懲役、
または200万円以下の罰金に処する」
「自己の飼養、保管する愛護動物に
ついて疾病、または負傷したものの
適切な保護を行わない者は100万円以下
の罰金」
「愛護動物を遺棄した者は、
100万円以下の罰金」
庭先に猛暑日も酷寒日も
つながれたまま、まともに
水も与えられない犬達が、
今この時もいる事実、そして道ばたに、
あるいはトリミングサロンや
ペットホテルに意図的に置き去りにされる、
つまりは遺棄される犬がいることは、
法律の実効性が乏しいこと、
表現が曖昧なこと、
ひいては心ない飼育者に対して全く
効力がない事実を裏付けています。
ペットショップの生体販売
生体販売はあくまで「犬」を
「品物」として売るビジネスです。
現在の日本には、ペットショップでの
生体販売を根本から規制する
法律がありません。
ペットショップ側には
「愛護法 第3章 第8条 動物の販売を
業として行う者は、当該販売に関わる
動物の購入者に対し、当該動物の種類、
習性、供用の目的に応じて、
その適正な飼養または保管の方法について、
必要な説明をしなければならない」と
定められていますが、果たして
、これはその通り、
行われているのでしょうか?
それ以前に、ペットショップ側は、
犬を販売する相手が、
適正に飼養できる者であると
見極めることができるのでしょうか?
飼養する上で適切な判断ができない人に
販売した結果、その動物が家族間で
たらい回しにされたり、
保護活動者にレスキューされる話が、
実際にあります。
ペットショップ側には、
顧客が適正飼養者であるか確認する
義務はありません。
現実的に確認は難しいとも思いますが、
明らかに適さない人に販売している
ケースもあります。
もちろん、動物を購入した側の
飼養責任も定められてはいます。
しかし、飼育放棄が後を絶たないのは、
誰でも簡単に犬を買える仕組みが
堂々と成り立っていることが一つの
要因となっていると、
いえないでしょうか?
子犬流通の仕組み
子犬は繁殖業者のもとで生まれ、
パピーオークションにかけられ、
販売業者が競り落とし、
ペットショップのガラスケージの中に
展示されます。
ビジネスとしての規制は、
「愛護法」の中で一部改正は
なされました。
犬の成長過程を慮り、販売の週齢も
辛うじて規制されました。
しかし、この流通の過程こそが
虐待である、という認識そのものが
公に欠けています。
流通のスタート地点である
パピーミル=悪質な繁殖業者における
犬達の悲惨な実情は、
保護活動者側によって、様々な画像が
出回っていますので、あえて、
ここでは述べません。
交配しやすくするため体の一部を
切り取る、または障害のある犬や病気の
犬も放置など、その残酷さは語れば
キリがないからです。
「第一種動物取扱業者の規制」として
「立入検査・罰則」はどこまで
機能しているのでしょうか。
※第一種動物取扱業者=文中では主に
販売目的の繁殖業者を指して
用いています
パピーオークションは、
子犬にとってストレスのない
環境でしょうか?
ペットショップの、個別に仕切られた
ガラスケージは、犬どうしの関係を
学ぶべき時期にある子犬が過ごすのに
適切な環境でしょうか?
果たして、これらは本当に
「動物の愛護」にかなって
いるのでしょうか?
カワイイのワナ
確かに子犬は可愛い。
まっさらな状態から自分の愛犬として
育てたい - その思い自体は決して
責められるべきことではありません。
ただ、人々のその思いの結果が、
パピーミルでありパピーオークションであり
ペットショップであること、
売る側と買う側の利害が
一致しているからこそ成り立っている
構造なのだという認識が、
もっと広まる必要があるのでは
ないでしょうか。
(つづく)