3月13日(金)14時24分配信千葉日報より
地震など大規模災害で避難する時、避難所に
ペットは連れて行けるのか―。
東日本大震災では避難がかなわなかったペット
が多数犠牲になっており、家族の一員としてペット
を飼う人にとって深刻な問題だ。
東日本大震災後、市川市がペットを同行した
福島県の被災者を受け入れていたことを知ってい
るだろうか。
画期的な取り組みと高く評価される一方、
課題も浮かび上がった。関係者らはペット同行
避難の体制整備を求めると同時に、災害に備え
「飼い主の責任」も
「ペットがいるので避難できない人がいる」
きっかけは震災直後の深夜、並木まき市川
市議(36)に掛かってきた1本の電話だった。
並木市議はかねてからペット同行避難の実現に
取り組み、日本愛玩動物協会員でもあった。
「見ず知らずの人がホームページを見て
電話してきた」
と並木市議。
切実さを感じ取り、ペットを同行した被災者の
受け入れを市に働き掛けた。
市側も積極的な被災者支援を方針に掲げていた
ことから、原発被災者らを対象に受け入れを決定。
発生17日後の3月28日、生涯学習施設「市少年自
然の家」(同市大町)にペット同伴可の避難所を
開設した。
同協会などでつくる「全国緊急災害時動物救
援本部」によると、震災後、被災地以外にペット
同伴可能を明言した自治体の避難所はなく、
同協会には「福島県外に避難するため泣く泣く
ペットを手放した飼い主もいる」との情報が寄せ
られていた。
同本部もペット同伴可の避難所を探したが
見つからず、頭を抱えていたところだった。
同施設では建物横にテントとカーペットでペットの
飼育場所を確保。ペットはケージ内での“避難
生活”だったが、飼い主がペットと自由に遊べる
スペースも設置した。
ボランティアの獣医師による健康診断が行われた
ほか、同本部スタッフらが飼育場所の衛生管理
などを担当。
これまでペットの鳴き声や臭いを気にしながら
避難生活を送ってきた被災者から「今まで肩身
が狭かった。助かる」と感謝の声が挙がったという。
同本部が福島県内の避難所で入居者を募集
した当初は多くの希望者がおり、同施設も100人、
100匹程度の受け入れが可能だったが、同年4月
28日の避難所閉鎖までに入居したのは4世帯と
犬7匹、猫2匹のみ。
開設直前に県の水道から高濃度の放射性
ヨウ素が検出されたことや、知り合いのいない
土地に避難することの抵抗感が、キャンセルが
相次いだ主な理由と考えられている。
同協会の白井百合課長(44)は「福島の情報が
入りにくくなるなどして、市川への避難をあきら
めた人も多かった。
地域ぐるみの避難やペット同行避難が
できる体制の整備に向けて、各自治体との
連携を強化したい」と話す。