子どもの治療を親が先導すること | しなやか自律神経へ コロナ後遺症・感染症後ME/CFS

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2021年6月、当時高1息子が感染症後CFS発症→現在リカバリー中。
第28回精神保健福祉士国家試験受験のため通信制で学習中。

少し前に、三池輝久医師のもと、兵庫の病院で小児慢性疲労症候群と診断され高照度光療法・低温サウナ等の治療を受けた元患者さんから、貴重なお話を伺うことができました。

 

治療内容について詳細を伺うことができ、このたびの「高照度光療法の入院治療」を受けるに至ったのですが、元患者さんからのアドバイスで深く心に刻み込んだことがあります。

 

それは、子どもの治療を親が先導することへの注意、です。

三池医師は、当時(10数年前)は何カ月も入院させて同世代の子供たちを共同生活のように入院治療するやり方をしてらしたようですが、その意図の中には、そもそも時間のかかる自律神経の回復にじっくり取り組む目的の他にも、親と子の距離を置かせるという目的も含まれていたそうです。

最終的には、この手の病態にかかった子の多くは、回復の道程で自分自身の気質・体質を自覚し受け入れ、自らコントロールしていけるようになる事が大事だと。

 

でも、この病気になる=不登校にってしまうし、治癒に何年もかかるため母子密着状態になり子どもの自立が阻害される可能性がある・・・ということは、多くの親が心のどこかで心配されていることかもしれませんね。

学童期・思春期~青年期に発症すると、どうしても親が子を治療に導く必要があります。

ちょうど子どもが親から巣立ち始め、仲間の中でアイデンティティを形成し自立していくタイミングで起立性調節障害になるというのは、親も子も歯がゆく辛い状態になりますよね。

 

特に私はすごく情報を調べてすぐ行動に移すタイプなので、そりゃもう親が子どもの治療を先導しまくりです。

これまでの一連の記事から分かる通り、この1年様々な治療を試みてきました。

可能性のあるあらゆる治療を調べ息子へ提案してきました。

無策のままだと7年、8年、9年と過ぎて行くことも可能な病態のようなので「原因や治療法を探すのは親の責務」とばかりに過剰に重荷を背負っていた気がします。

ですから、この偏りをご指摘いただいたことは耳が痛くも、本当にありがたいことでした。

 

ちなみに面白いなと思ったのが、このことを夫に話したところ、全く気にしていなかった事でした。

「ちゃうやろ。先導とは違うな。息子は全部自分で理解して納得して選んでやってるやん、ころんが思ってるより息子はずっと主体的や」

 

なるほどなぁ・・・私は夫よりずっと息子のことを幼いように捉えて「やってあげなきゃモード」に勝手になって、勝手に自己嫌悪になってた側面もあるのかもしれない。

 

重症で寝たきり状態の頃の息子(8月頃)に親が「この治療はどう?」と提案したところで、本人は判断する事さえ不可能な状態でしたから、夫婦で話し合い、治療方向性を一致させて、息子が嫌がらなければやってみる、というスタンスでやってきたつもりです。

 

が、徐々に回復するに従って息子は「自分自身がこの病態を乗り越えていくんだ」という気持ちが大きくなってきたと思います。

私が思っているよりずっと、一人で歩く力があるのかもしれない・・・。

 

特に入院治療で主治医とのカウンセリングで、この視点を繰り返しアドバイスいただいたようで、本当にありがたいことだと思いました。

3週間だけの高照度光療法そのものでOD症状が無くなることはなかったですが、主治医からのこうした視点からのカウンセリングは後々の彼にとってとても大事な視点を与えて下さったし、私自身も安心して身を引ける(?)ような気持になりました。

 

※16歳ですしね、色々な治療法を理解し、自覚して取り組むことが出来るのだと思います。これが12歳とかだと、まだまだ難しいだろうと想像します。

 

一番最初に彼を起立性調節障害と診断してくれた小児科医に、私と二人だけの診察の時に、私が「脳脊髄液減少症ということはないでしょうか」と聞くと「いえ、彼は違いますね。頭痛の症状が無いですし、その他の所見からもソレは除外してよいでしょう。彼の大きな課題はメンタルです」とおっしゃいました。

 

今はこの意味がよく分かります。

もちろん「気持ちの問題でこの病気が起こった」という意味で先生はおっしゃったのではありません。

その医師は息子との面談でアスペルガー症候群(ASD)であることを見抜いており(後に正式に診断されることになります)息子には「力を抜くことが一番なんだけどね、それがまた難しいんだけどね」と診察中に繰り返してまして、要は彼のメンタル傾向(ASDの脳を含め)が1つの原因になって陥ったということを伝えて下さっていました。

 

いずれにしても、この病態は単純な心身症というわけではないので、脳機能や体質が絡んで発症する「①身体的側面の病気」と捉えながらも、自己分析し自己制御できるようになるための「②成熟への時間」が必要だという側面もまた、同時に必要なのだろうと思いました。

 

「①身体的側面の病気」は、環境を整える・食事内容を見直す等で、親の協力が大事。

「②成熟への時間」は、子どもの育ちを見守るスタンスが大事なのかな、と。

 

大人になるにつれ「①身体的側面の病気」についても自己ケアできるよう、親としては集めた情報を息子に手渡す準備をしていようと思うようになりました。

 

お読みいただきありがとうございました。