源氏物語イラスト訳【紅葉賀140】はかなき
はかなきことをも言ひ触れたまふには、もて離るることもありがたきに、目馴るるにやあらむ、
【これまでのあらすじ】
桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。
光源氏18歳冬。藤壺宮は離宮に下がり、光源氏との不義密通の御子を出産しました。源氏は罪悪感に苛まれながらも、左大臣邸にも行かず、二条院で紫の君と過ごすことが多く、父帝から怒られています。
源氏物語イラスト訳
はかなきことをも言ひ触れたまふには、
訳)何ということもないことでも、ちょっと言葉をかけなさろうものなら、
もて離るることもありがたきに、
訳)つながりを断つような者はめったにいないので、
目馴るるにやあらむ、
訳)見慣れたのであろうか、
【古文】
はかなきことをも言ひ触れたまふには、もて離るることもありがたきに、目馴るるにやあらむ、
【訳】
何ということもないことでも、ちょっと言葉をかけなさろうものなら、つながりを断つような者はめったにいないので、見慣れたのであろうか、
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■【はかなき】…ク活用形容詞「はかなし」連体形
※【はかなし】…ちょっとした。何ということもない
■【を】…対象の格助詞
■【も】…強意の係助詞
■【言ひ触る】…ちょっと言葉をかける
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒帝)
■【には】…~につけては
■【もて離る】…遠ざける。関係をなくす
■【ありがたし】…めったにない
■【に】…順接の接続助詞
■【目馴る】…見慣れる
■【にやあらむ】…~であろうか
※【に】…断定の助動詞「なり」連用形
※【や】…疑問の係助詞
※【あら】…ラ変動詞「あり」の未然形
※【む】…推量の助動詞「む」連体形
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はかなきことをも言ひ触れたまふには、もて離るることもありがたきに、目馴るるにやあらむ、
【問】 傍線部の説明として最も適当なものを選べ。
1.源氏が自分のもとから離れてしまうことはありえないだろうということ
2.源氏さえその気になれば、情人関係を作りたく思う女人が数多くいたということ
3.源氏が女人を口説くことがめったになかったということ
4.源氏が口説いた女人は、皆情人にならざるをえなかったということ
5.源氏から言い寄られることはめったにないだろうということ
【ありがたし】は、
めったにない
という意味の重要古語です。
何がめったにないのか?
光源氏が、声を掛けてくれたのに、
通常の女性なら、心ときめかしますよね~!
しかし、源氏が口説いても、知らん顔する女性なんて、めったにないってことなんです。
※【答え】は最後にあります。ぜひやってみてね!
YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。
日々の古文速読トレーニングにお役立てください。
答え…【2】