源氏物語イラスト訳【紅葉賀139】帝の御年
帝の御年、ねびさせたまひぬれど、かうやうの方、え過ぐさせたまはず、采女、女蔵人などをも、容貌、心あるをば、ことにもてはやし思し召したれば、よしある宮仕へ人多かるころなり。
【これまでのあらすじ】
桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。
光源氏18歳冬。藤壺宮は離宮に下がり、光源氏との不義密通の御子を出産しました。源氏は罪悪感に苛まれながらも、左大臣邸にも行かず、二条院で紫の君と過ごすことが多く、父帝から怒られています。
源氏物語イラスト訳
帝の御年、ねびさせたまひぬれど、
訳)帝のご年齢は、老いていらっしゃったけれど、
かうやうの方、え過ぐさせたまはず、
訳)このような方面は、そのままにしておくことができ なさらず、
采女、女蔵人などをも、容貌、心あるをば、
訳)采女や、女蔵人などでも、容貌や風流心がある者を、
ことにもてはやし思し召したれば、
訳)格別にもてなし、大切にお思いなさっていたので、
よしある宮仕へ人多かるころなり。
訳)趣のある宮仕え人の多いこの頃である。
【古文】
帝の御年、ねびさせたまひぬれど、かうやうの方、え過ぐさせたまはず、采女、女蔵人などをも、容貌、心あるをば、ことにもてはやし思し召したれば、よしある宮仕へ人多かるころなり。
【訳】
帝のご年齢は、老いていらっしゃったけれど、このような方面は、そのままにしておくことができ なさらず、采女や、女蔵人などでも、容貌や風流心がある者を、格別にもてなし、大切にお思いなさっていたので、趣のある宮仕え人の多いこの頃である。
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■【帝】…桐壺帝。光源氏の父
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒帝)
■【年】…年齢
■【ねび】…バ行上二段動詞「ねぶ」未然形
■【させ】…尊敬の助動詞「さす」連用形
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒帝)
■【ぬれ】…完了の助動詞「ぬ」已然形
■【ど】…逆接の接続助詞
■【かうやう】…ナリ活用形容動詞「かうやうなり」の語幹
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【方(かた)】…方面
■【え~ず】…~できない
※【え】…陳述の副詞
※【ず】…打消の助動詞「ず」連用形
■【過ぐし】…サ行四段動詞「すぐす」の未然形
※【過ぐす】…そのままにしておく
■【せ】…尊敬の助動詞「す」連用形
■【たまは】…ハ行四段動詞「たまふ」未然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒帝)
■【采女(うねめ)】…天皇のそば近く仕えて食事の世話などの雑事に携わった、後宮の女官
■【女蔵人(にょくらうど)】…宮中に仕える下級の女房
■【など】…例示の副助詞
■【を】…対象の格助詞
■【も】…強意の係助詞
■【容貌(かたち)…容貌
■【心あり】…風流心がある。思慮分別がある
■【をば】…~を(「ば」は強意の係助詞)
■【ことに】…ナリ活用形容動詞「ことなり」連用形
※【ことなり】…格別だ
■【もてはやす】…大切に待遇する。歓待する
■【思し召す】…「思ふ」の尊敬語(作者⇒帝)
■【たれ】…完了の助動詞「たり」已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【よしあり】…趣のある
■【宮仕え人】…宮廷で仕える女性
■【多かる】…ク活用形容詞「多し」連体形
■【なり】…断定の助動詞「なり」終止形
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答え…【2】