源氏物語イラスト訳【紅葉賀138】いかなる
「…いかなるもののくまに隠れありきて、かく人にも怨みらるらむ」とのたまはす。
【これまでのあらすじ】
桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。
光源氏18歳冬。藤壺宮は離宮に下がり、光源氏との不義密通の御子を出産しました。源氏は罪悪感に苛まれながらも、左大臣邸にも行かず、二条院で紫の君と過ごすことが多く、父帝から怒られています。
源氏物語イラスト訳
「…いかなるもののくまに隠れありきて、
訳)「…どのような物陰に方々隠れ歩いて、
かく人にも怨みらるらむ」
訳)このように人に恨まれることをしているのだろう」
とのたまはす。
訳)と仰せられる。
【古文】
「…いかなるもののくまに隠れありきて、かく人にも怨みらるらむ」とのたまはす。
【訳】
「…どのような物陰に方々隠れ歩いて、このように人に恨まれることをしているのだろう」と仰せられる。
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■【いかなる】…どのような
■【もの】…何か
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【くま(隈)】…(ひっこんで)目立たない所。物陰
■【に】…場所の格助詞
■【隠れ】…ラ行下二段動詞「かくる」連用形
■【―ありく】…方々~してまわる
■【て】…単純接続の接続助詞
■【かく】…このように
■【人】…ここでは、左大臣邸の人々をさす
■【に】…受身の対象の格助詞
■【怨(うら)み】…マ行上二段動詞「うらむ」未然形
■【らる】…受身の助動詞「らる」終止形
■【らむ】…現在の原因推量の助動詞「らむ」連体形
■【と】…引用の格助詞
■【のたまはす】…「言ふ」の尊敬語(作者⇒帝)
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答え…【2】