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大学入試 新古文単語336 (シグマベスト)
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姫君、例の、心細くて屈したまへり。絵も見さして、うつぶしておはすれば、いとらうたくて、
【これまでのあらすじ】
桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。
光源氏18歳冬。藤壺宮は離宮に下がり、光源氏との不義密通の御子を出産しました。四月になり、藤壺宮と御子が宮中に戻りました。源氏は罪悪感に苛まれながらも、紫の君のいる二条院で時を過ごしています。
姫君、例の、心細くて屈したまへり。
訳)紫の姫君は、いつものように、心細くてふさぎ込んでいらっしゃる。
絵も見さして、うつぶしておはすれば、
訳)絵を見ることも途中で止めて、うつ伏していらっしゃるので、
いとらうたくて、
訳)とてもかわいらしくて、
【古文】
姫君、例の、心細くて屈したまへり。絵も見さして、うつぶしておはすれば、いとらうたくて、
【訳】
紫の姫君は、いつものように、心細くてふさぎ込んでいらっしゃる。絵を見ることも途中で止めて、うつ伏していらっしゃるので、とてもかわいらしくて、
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
■【姫君】…紫の姫君
■【例の】…いつものように
■【心細く】…ク活用形容詞「心細し」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【屈す】…気がめいる。気がふさぐ
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒紫の君)
■【り】…完了(存続)の助動詞「り」終止形
■【も】…添加の係助詞
■【見さす】…見るのを途中でやめる
※【―さ(止)す】…~するのを途中でやめる
■【て】…単純接続の接続助詞
■【うつぶし】…サ行四段動詞「うつ伏す」連用形
■【おはすれ】…サ変動詞「おはす」已然形
※【おはす】…「あり」の尊敬語(作者⇒紫の君)
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【いと】…とても
■【らうたく】…ク活用形容詞「らうたし」連用形
※【らうたし】…かわいらしい
■【て】…単純接続の接続助詞
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
姫君、例の、心細くて屈したまへり。絵も見さして、うつぶしておはすれば、いとらうたくて、御髪のいとめでたくこぼれかかりたるを、かき撫でて、
「他なるほどは恋しくやある」
とのたまへば、うなづきたまふ。
【問】 傍線部の意味として最も適当なものを選べ。
1.絵を見ることもできず
2.絵を見ることもやめず
3.絵を見ることも気にならず
4.絵を見ることも途中で止めて
5.絵を見ることも継続させて
「さす」は、「差す」「指す」「注す」「刺す「鎖す」など、たくさんの漢字が想定される多義語のうえに、使役・尊敬の助動詞「さす」もありますよね。
今回の用いられ方は、あまり辞書には明確に載っていませんが、古文読解の際には、非常に注意しなければならない重要古語です。
例文も含めて、こういう使い方を覚えていきましょうね。
※【答え】は最後にあります。ぜひやってみてね!
YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。
日々の古文速読トレーニングにお役立てください。