源氏物語イラスト訳【末摘花205】末摘花の和歌☆ | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏物語イラスト訳【末摘花205】末摘花の和歌☆

歌も、

「唐衣君が心のつらければ袂はかくぞそぼちつつのみ」

心得ずうちかたぶきたまへるに、包みに、衣筥の重りかに古代なるうち置きて、おし出でたり。

 

【これまでのあらすじ】

故常陸宮の姫君(末摘花)と逢瀬を迎えた光源氏。返歌もできない教養のなさや、雪明かりの朝に見た彼女の容貌に驚き、幻滅します。しかし、縁があって逢瀬を迎えたのだから、一生彼女の面倒をみようと心に決めました。光源氏19歳の年末のとある日、宮中の宿直所に大輔命婦が訪ねて来て、末摘花の恋文を源氏に渡します。

 

 

源氏物語イラスト訳 

 

 

、「唐衣つらけれ

訳)和歌、「あなた薄情なので

 

 

かくそぼちつつのみ

訳)わたしのこのように 涙で濡れ続けてばかりです」

 

 

心得うちかたぶきたまへ

訳)納得がゆか首をかしげ ていらっしゃる 

 

 

包み衣筥重りかに古代なるうち置きて、おし出でたり

訳)上包み衣装箱重そうで古風なものを置いて、押し出し

 

 

【古文】

唐衣つらけれかくそぼちつつのみ

心得うちかたぶきたまへ包み衣筥重りかに古代なるうち置きて、おし出でたり

 

【訳】

和歌

あなた薄情なので

 わたしのこのように 涙で濡れ続けてばかりです」

納得がゆか首をかしげ ていらっしゃる 上包み衣装箱重そうで古風なものをすっと置いて、押し出し

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【歌】…末摘花からの和歌

■【も】…列挙の係助詞

■【唐衣(からころも)】…「着る」を導く枕詞。ここでは「君」の「き」にかかっている

■【君】…あなた(源氏のこと)

■【が】…連体修飾格の格助詞

■【心】…心。気持ち

■【の】…主格の格助詞

■【つらけれ】…ク活用形容詞「つらし」已然形

※【つらし】…つらい。薄情だ

■【ば】…順接確定条件の接続助詞

■【袂(たもと)】…袖(そで)。また、袖の垂れ下がった部分

■【は】…取り立ての係助詞

■【かく】…このように

■【ぞ】…強意の係助詞(結びの省略)

■【そぼち】…タ行上二段動詞「そぼつ」連用形

※【そぼつ】…(涙で)濡れる

■【つつ】…継続の接続助詞

■【のみ】…限定の副助詞

■【心得】…ア行下二段動詞「こころう」未然形

※【心得(こころう)】…納得する

■【ず】…打消の助動詞「ず」連用形

■【うちかたぶく】…首をかしげる「うち」は接頭語

■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【る】…存続の助動詞「り」連体形

■【に】…時の格助詞

■【包み】…上包み

■【に】…場所の格助詞

■【衣筥(ころもばこ)】…衣装箱

■【の】…同格の格助詞

■【重りかに】…ナリ活用形容動詞「おもりかなり」連用形

※【重(おも)りかなり】…いかにも重そうだ

■【古代なる】…ナリ活用形容動詞「古代なり」連体形

※【古代(こだい)なり】…古風だ。古めかしい

■【うち置く】…置く(「うち」は接頭語

■【て】…単純接続の接続助詞

■【押し出で】…ダ行下二段動詞「押し出づ」連用形

■【たり】…完了の助動詞「たり」終止形

 

重要古語一覧はこちら

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

【本日の源氏物語】

 

末摘花邸には、経済的支援を欠かさず、「つらし(薄情だ)」などと言われる筋合いはないのに、末摘花からこんな和歌が贈られてくるとは…、と、源氏は首をかしげています。

 

「唐衣」がどこにかかるのかな、と首をかしげているといった諸注もありますね。

 

 

笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

まあ、いかんせん分厚い陸奥紙の上に、変わった和歌が贈られてきた、ということでしょう。

 

キョロキョロキョロキョロキョロキョロ

 

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