源氏物語イラスト訳【末摘花135】アドバイス
「晴れぬ夜の月待つ里を思ひやれ同じ心に眺めせずとも」
口々に責められて、紫の紙の、年経にければ、灰おくれ古めいたるに、
【これまでのあらすじ】
故常陸宮の姫君(末摘花)との初夜を終えた光源氏。なんだか思っていたのと違って、幻滅し、翌日は足が向かず、手紙だけを送ります。
源氏物語イラスト訳
「晴れぬ夜の月待つ里を思ひやれ
訳)「雨雲の晴れない夜の月(貴方)を待っている里(わたし)を思いやってください。
同じ心に眺めせずとも」
訳)わたしと同じ気持ちで眺めているのでないとしても」
口々に責められて、
訳)女房たちから口々に責められて、
【古文】
「晴れぬ夜の月待つ里を思ひやれ同じ心に眺めせずとも」
口々に責められて、紫の紙の、年経にければ、灰おくれ古めいたるに、
【訳】
「雨雲の晴れない夜の月(貴方)を待っている里(わたし)を思いやってください。
わたしと同じ気持ちで眺めているのでないとしても」
女房たちから口々に責められて、紫色の紙で、年数が経ってしまったので、色あせて古くなった紙に、
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■【晴れ】…ラ行下二段動詞「晴(は)る」未然形
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」の連体形
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【月】…光源氏の見立て
■【待つ】…タ行四段動詞「待つ」連体形
■【里(さと)】…末摘花の見立て
■【を】…対象の格助詞
■【思ひやれ】…ラ行四段動詞「思ひやる」命令形
■【同じ】…シク活用形容詞「同じ」連体形
■【心】…気持ち
■【に】…状態の格助詞
■【眺め】…眺めること。もの思いにふけること
■【せ】…サ変動詞「す」未然形
■【ず】…打消の助動詞「ず」終止形
■【とも】…逆接仮定条件の雪像助詞
■【口々に】…大勢の人が同じことをそれぞれに
■【責(せ)め】…マ行下二段動詞「責(せ)む」未然形
■【られ】…受身の助動詞「らる」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【紫の紙】…紫色の和紙
■【の】…同格の格助詞
■【灰おくる】…紫色を染めるのに使った椿(つばき)の灰の効力がなくなり、紫の色があせる
■【古めい】…カ行四段動詞「古(ふる)めく」連用形イ音便
※【古(ふる)めく】…古くなる。古びる
■【たる】…存続の助動詞「たり」連体形
■【に】…対象の格助詞
■【きこゆる】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連体形
※【きこゆ】…謙譲の補助動詞(作者⇒末摘花)
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【本日の源氏物語】
「口々に責められて…」とあるので、
今回は、侍従が書いたのではなく、
「こんなふうに書いたらどうですか?」と、アドバイスした、というくらいの意味でいいでしょう。
いずれにせよ、末摘花は、自分でなんにもできないようですよね~;;
YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。
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