源氏物語イラスト訳【末摘花134】侍従の返歌
いとど思ひ乱れたまへるほどにて、え形のやうにも続けたまはねば、「夜更けぬ」とて、侍従ぞ、例の教へきこゆる。
【これまでのあらすじ】
故常陸宮の姫君(末摘花)との初夜を終えた光源氏。なんだか思っていたのと違って、幻滅を隠せません。翌日は夕方に手紙だけを送って、足が向きません。
源氏物語イラスト訳
いとど思ひ乱れたまへるほどにて、
訳)ますます思い乱れなさっている時であって、
え形のやうにも続けたまはねば、
訳)型通りにも返歌を連ねることができなさらないので、
「夜更けぬ」とて、侍従ぞ、例の教へきこゆる。
訳)「夜が更けてしまう」と言って、侍従が、いつものようにお教え申し上げる。
【古文】
いとど思ひ乱れたまへるほどにて、え形のやうにも続けたまはねば、「夜更けぬ」とて、侍従ぞ、例の教へきこゆる。
【訳】
ますます思い乱れなさっている時であって、型通りにも返歌を連ねることができなさらないので、「夜が更けてしまう」と言って、侍従が、いつものようにお教え申し上げる。
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■【いとど】…ますます
■【思ひ乱れ】…ラ行下二段動詞「思ひみだる」連用形
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒末摘花)
■【る】…存続の助動詞「り」連体形
■【ほど】…時。間
■【に】…断定の助動詞「なり」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【え~(打消)】…~できない(「え」は陳述の副詞)
■【形のやうに】…(和歌の)形式(型)どおりに
■【も】…強意の係助詞
■【続く】…(返歌を)連ねる
■【たまは】…ハ行四段動詞「たまふ」未然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒末摘花)
■【ね】…打消の助動詞「ず」已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【更(ふ)け】…カ行下二段動詞「更(ふ)く」連用形
■【ぬ】…完了の助動詞「ぬ」終止形
■【とて】…~と言って
※【と】…引用の格助詞
※【て】…単純接続の接続助詞
■【侍従(じじゅう)】…末摘花付きの女房
■【ぞ】…強意の係助詞(結び;「きこゆる」)
■【教へ】…ハ行下二段動詞「おしふ」連用形
■【きこゆる】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連体形
※【きこゆ】…謙譲の補助動詞(作者⇒末摘花)
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