源氏物語イラスト訳【末摘花125】内裏
起き上がりたまひて、
「心やすき独り寝の床にて、ゆるびにけりや。内裏よりか」
とのたまへば、
【これまでのあらすじ】
故常陸宮の姫君の噂を聞いた光源氏は、「零落した悲劇の姫」という設定に憧れと好奇心を抱き、乳母子の大輔命婦の手引きにより、ようやく逢瀬を迎えました。
源氏物語イラスト訳
起き上がりたまひて、
訳)起き上がりなさって、
「心やすき独り寝の床にて、ゆるびにけりや。
訳)「気楽な独り寝の寝床なので、気がゆるんでしまったなあ。
内裏よりか」とのたまへば、
訳)宮中から来たのか」とおっしゃると、
【古文】
起き上がりたまひて、
「心やすき独り寝の床にて、ゆるびにけりや。内裏よりか」
とのたまへば、
【訳】
起き上がりなさって、
「気楽な独り寝の寝床なので、気がゆるんでしまったなあ。宮中から来たのか」
とおっしゃると、
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■【起き上がり】…ラ行四段動詞「起き上がる」連用形
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【心やすき】…ク活用形容詞「心やすし」連体形
※【心やすし】…気楽だ
■【独り寝】…女性を伴わずに寝ること
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【床(とこ)】…寝床
■【にて】…原因の格助詞
■【ゆるび】…バ行四段動詞「ゆるぶ」連用形
※【ゆるぶ】…気がゆるむ
■【に】…完了の助動詞「ぬ」連用形
■【けり】…詠嘆の助動詞「けり」の終止形
■【や】…詠嘆の間投助詞
■【内裏(うち)】…宮中
■【より】…起点の格助詞
■【か】…疑問の係助詞(文末用法)
■【と】…引用の格助詞
■【のたまへ】…ハ行四段動詞「のたまふ」已然形
※【のたまふ】…「言ふ」の尊敬語(作者⇒頭中将)
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
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【本日の源氏物語】
「朝寝」を頭中将にとがめられた光源氏――。
「独り寝の気の緩み」と、うまくかわしましたねぇ!
そして、話題をかえて、「内裏(宮中)からか?」と聞いています。
「内裏」というのは、「だいり」とも読みますが、「うち」と読むことも覚えておきましょう。
YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。
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