源氏物語イラスト訳【末摘花124】朝寝
思ひ乱れておはするに、頭中将おはして、
「こよなき御朝寝かな。ゆゑあらむかしとこそ、思ひたまへらるれ」
と言へば、
【これまでのあらすじ】
故常陸宮の姫君の噂を聞いた光源氏は、「零落した悲劇の姫」という設定に憧れと好奇心を抱き、乳母子の大輔命婦の手引きにより、ようやく逢瀬を迎えました。
源氏物語イラスト訳
思ひ乱れておはするに、
訳)あれこれ思い悩んでいらっしゃる時に、
頭中将おはして、
訳)頭中将がいらっしゃって、
「こよなき御朝寝かな。
訳)「この上ない御朝寝だなぁ。
ゆゑあらむかしとこそ、思ひたまへらるれ」と言へば、
訳)なにか理由があるのだろうなと、お思い申し上げずにいられません」と言うと、
【古文】
思ひ乱れておはするに、頭中将おはして、
「こよなき御朝寝かな。ゆゑあらむかしとこそ、思ひたまへらるれ」
と言へば、
【訳】
あれこれ思い悩んでいらっしゃる時に、頭中将がいらっしゃって、
「この上ない御朝寝だなぁ。なにか理由があるのだろうなと、お思い申し上げずにいられません」
と言うと、
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■【思ひ乱れ】…ラ行下二段動詞「思ひ乱る」連用形
※【思ひ乱る】…あれこれ思い悩む
■【て】…単純接続の接続助詞
■【おはする】…サ変動詞「おはす」連体形
※【おはす】…「あり」の尊敬語(作者⇒光源氏)
■【に】…時の格助詞
■【頭中将】…光源氏の義兄・ライバル
■【おはし】…サ変動詞「おはす」連用形
※【おはす】…「来」の尊敬語(作者⇒頭中将)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【こよなき】…ク活用形容詞「こよなし」連体形
※【こよなし】…この上ない
■【御―】…尊敬の接頭語(頭中将⇒光源氏)
■【朝寝】…朝遅くまで寝ていること
■【かな】…詠嘆の終助詞
■【ゆゑ】…理由
■【あら】…ラ変動詞「あり」未然形
■【む】…推量の助動詞「む」終止形
■【かし】…念押しの終助詞
■【と】…引用の格助詞
■【こそ】…強意の係助詞(結び;「らるれ」)
■【思ひ】…ハ行四段動詞「思ふ」の連用形
■【たまへ】…ハ行下二段動詞「たまふ」未然形
※【たまふ】…謙譲の補助動詞(頭中将⇒光源氏)
■【らるれ】…自発の助動詞「らる」已然形
■【と】…引用の格助詞
■【言へ】…ハ行四段動詞「言ふ」已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
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