源氏イラスト訳【若紫380】鈍色
やうやう起きゐて見たまふに、鈍色のこまやかなるが、うち萎えたるどもを着て、何心なくうち笑みなどしてゐたまへるが、いとうつくしきに、我もうち笑まれて見たまふ。
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日々の古文速読トレーニングにお役立てください。
【源氏物語イラスト訳】
やうやう起きゐて見たまふに、
訳)ようやく起きて座ってご覧になるのだが、
鈍色のこまやかなるが、うち萎えたるどもを着て、
訳)鈍色で色の濃い喪服の、ちょっと柔らかくなっているのを着て、
何心なくうち笑みなどしてゐたまへるが、いとうつくしきに、
訳)無心に微笑んでいらっしゃるのが、とてもかわいらしいので、
我もうち笑まれて見たまふ。
訳)ご自身も つい微笑まずにいられなくてご覧になる。
【古文】
やうやう起きゐて見たまふに、鈍色のこまやかなるが、うち萎えたるどもを着て、何心なくうち笑みなどしてゐたまへるが、いとうつくしきに、我もうち笑まれて見たまふ。
【訳】
ようやく起きて座ってご覧になるのだが、鈍色で色の濃い喪服の、ちょっと柔らかくなっているのを着て、無心に微笑んでいらっしゃるのが、とてもかわいらしいので、ご自身も つい微笑まずにいられなくてご覧になる。
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■【やうやう】…「やうやく(漸く」」に同じ
■【起きゐ】…ワ行上一段動詞「起きゐる」連用形
※【起きゐる】…起きて座る
■【て】…単純接続の接続助詞
■【見たまふ】…ご覧になる
※【見】…マ行上一段動詞「見る」連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒若紫)
■【に】…単純接続の接続助詞
■【鈍色(にびいろ)】…濃いねずみ色
■【の】…同格の格助詞
■【こまやかなる】…ナリ活用形容動詞「こまやかなり」連体形
※【こまやかなり】…色が濃い
■【が】…同格の格助詞
■【うち萎え】…ヤ行下二段動詞「うち萎ゆ」連用形
※【うち萎ゆ】…衣服が着なれて柔らかになる(「うち」は接頭語)
■【たる】…存続の助動詞「たり」連体形
■【―ども】…複数の接尾語
■【を】…対象の格助詞
■【着】…カ行上一段動詞「着る」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【何心なく】…無心に
■【うち笑み】…ほほ笑んでいること
■【など】…例示の副助詞
■【し】…サ変動詞「す」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【ゐ】…ワ行上一段動詞「ゐる」連用形
■【たまへる】…~ていらっしゃる
※【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒若紫)
※【る】…存続の助動詞「り」連体形
■【が】…主格の格助詞
■【いと】…とても
■【うつくしき】…シク活用形容詞「うつくし」連体形
※【うつくし】…かわいらしい
■【に】…順接の接続助詞
■【我(われ)】…自分自身。ここでは光源氏をさす
■【も】…添加の係助詞
■【うち笑ま】…マ行四段動詞「うち笑む」未然形
※【うち―】…接頭語
■【れ】…自発の助動詞「る」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【見たまふ】…ご覧になる
※【見】…マ行上一段動詞「見る」連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
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若紫は、光源氏が心を尽くして絵や遊び道具などで興味を引かせていたので、「うち笑み」(微笑ん)で機嫌が良くなりました。
「鈍色」とあります。
今、気づいたのですが、
若紫は、故尼君の喪中なので、
まだ、喪服を着ていたようですね;;;
古文読解では、前から読んでいくと、必ず分からない部分が出てきます。
数学では、そういう部分が出てきたら、そこで思考が止まってしまいますが、
古文や漢文では、そういう部分は読み飛ばし、
今回のように明らかな根拠が出てきたら、
前に返って、修復すればいいのです!