源氏イラスト訳【若紫372】二条院
乳母はうちも臥されず、ものもおぼえず、起きゐたり。
明けゆくままに、見わたせば、御殿の造りざま、しつらひざま、さらにも言はず、
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【源氏物語イラスト訳】
乳母はうちも臥されず、ものもおぼえず、起きゐたり。
訳)少納言の乳母は横になることも できず、何も考えられず、起きていた。
明けゆくままに、見わたせば、御殿の造りざま、
訳)夜が明けて行くにつれて、見渡すと、二条院の御殿の建物の様子や、
しつらひざま、さらにも言はず、
訳)装飾品の様子は、改めて言うまでもなく、
【古文】
乳母はうちも臥されず、ものもおぼえず、起きゐたり。
明けゆくままに、見わたせば、御殿の造りざま、しつらひざま、さらにも言はず、
【訳】
少納言の乳母は横になることも できず、何も考えられず、起きていた。
夜が明けて行くにつれて、見渡すと、二条院の御殿の建物の様子や、装飾品の様子は、改めて言うまでもなく、
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■【乳母(めのと)】…若紫の侍従である、少納言の乳母
■【は】…取り立ての係助詞
■【うち―】…語調をととのえる接頭語
■【も】…強意の係助詞
■【臥さ】…サ行四段動詞「臥す」未然形
※【臥(ふ)す】…横になる
■【れ】…可能の助動詞「る」未然形
■【ず】…打消の助動詞「ず」の連用形(連用中止法)
■【ものもおぼえず】…何も考えられなくて
※【もの】…何か
※【も】…強意の係助詞
※【おぼえ】…ヤ行下二段動詞「おぼゆ」未然形
※【ず】…打消の助動詞「ず」の連用形(連用中止法)
■【起き】…カ行上二段動詞「起く」連用形
■【ゐ】…ワ行上一段動詞「ゐる」連用形
※【ゐる】…いる。座っている
■【たり】…存続の助動詞「たり」終止形
■【明けゆく】…夜が明けてゆく
■【ままに】…~につれて
※【に】…時の格助詞
■【見渡せ】…サ行四段動詞「見渡す」已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【御殿(みあらか)】…二条院の御殿
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【造りざま】…建物のようす
※【ざま】…様子
■【しつらひ】…装飾。設備
■【さらにも言はず】…改めて言うまでもない
※【さらに~ず】…まったく~ない
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少納言の乳母は、若紫に添い寝してあげることもできず、
改めて、光源氏の自邸である「二条院」の様子を見渡してみると、
ほんとうに、すばらしいお住まいなのに、びっくりしている感じですね!
「ものもおぼえず」
「~ままに」
「さらにも言はず」
などの慣用表現は、こうして初見古文をたくさん読んでいくと、
しょっちゅう出てくることが、わかると思います。
あまり出てこない表現で、意訳すべき場合は、
大学受験では、必ず【注釈】がつきます!