源氏イラスト訳【若紫369】対屋
御几帳の帷子引き下ろし、御座など、ただひき繕ふばかりにてあれば、東の対に、御宿直物、召しに遣はして、大殿籠もりぬ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。
日々の古文速読トレーニングにお役立てください。
【源氏物語イラスト訳】
御几帳の帷子引き下ろし、御座など、ただひき繕ふばかりにてあれば、
訳)御几帳の垂れ布を引き下ろし、ご座所など、ちょっと整えるだけで使えるので、
東の対に、御宿直物、召しに遣はして、
訳)東の対に、お寝具類をお取り寄せに人をやって、
大殿籠もりぬ。
訳)お休みになった。
【古文】
御几帳の帷子引き下ろし、御座など、ただひき繕ふばかりにてあれば、東の対に、御宿直物、召しに遣はして、大殿籠もりぬ。
【訳】
御几帳の垂れ布を引き下ろし、ご座所など、ちょっと整えるだけで使えるので、東の対に、お寝具類をお取り寄せに人をやって、お休みになった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
■【御(み)―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)
■【几帳(きちょう)】…部屋の仕切り
■【引き下ろし】…サ行四段動詞「引き下ろす」連用形
■【御坐(おまし)】…御座所
■【など】…例示の副助詞
■【ただ】…ちょっと。ただひたすら
■【ひき繕(つくろ)ふ】…整える(「ひき」は接頭語)
■【ばかり】…限定の副助詞
■【に】…断定の助動詞「なり」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【あれ】…ラ変動詞「あり」已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【東の対】…東の対の屋(別棟の部屋)
■【に】…場所の格助詞
■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)
■【宿直物(とのゐもの)】…寝具類。夜具
■【召し】…サ行四段動詞「召す」連用形
※【召(め)す】…「呼ぶ」の尊敬語(作者⇒光源氏)
■【に】…目的の格助詞
■【遣はし】…サ行四段動詞「遣はす」連用形
※【遣はす(つかわす)】…「遣る」の謙譲語(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【大殿籠(おほとのご)もり】…ラ行四段動詞「大殿籠もる」連用形
※【大殿籠もる】…「寝」の尊敬語(作者⇒若紫)
■【ぬ】…完了の助動詞「ぬ」終止形
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
急なことなので、
御几帳などもない「西の対」だったのでしょう。
なので、ふだん使っている「東の対」から、几帳や屏風、夜具などをもってきて、それで若紫たちは、お休みになれたのでしょう。
ちなみに、「対」というのは「対屋(たいのや)」のことです。
寝殿造りで、別棟の建物になります。