源氏イラスト訳【若紫365】随意
「そは、心ななり。御自ら渡したてまつりつれば、帰りなむとあらば、送りせむかし」
とのたまふに、笑ひて下りぬ。
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【源氏物語イラスト訳】
「そは、心ななり。
訳）「それはあなたの考え次第のようだ。
御自ら渡したてまつりつれば、
訳）ご本人はお移し申し上げてしまったのだから、
帰りなむとあらば、送りせむかし」とのたまふに、
訳）帰ってしまおうと思うならば、送ってやろうよ」とおっしゃるので、
笑ひて下りぬ。
訳）苦笑いして下りた。
【古文】
「そは、心ななり。御自ら渡したてまつりつれば、帰りなむとあらば、送りせむかし」
とのたまふに、笑ひて下りぬ。
【訳】
「それはあなたの考え次第のようだ。ご本人はお移し申し上げてしまったのだから、帰ってしまおうと思うならば、送ってやろうよ」
とおっしゃるので、苦笑いして下りた。
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■【そ】…それ
■【は】…取り立ての係助詞
■【心な】…ナリ活用形容動詞「心なり」連体形撥音便無表記
※【心なり】…心しだいだ。思いのままだ。随意
■【なり】…推定の助動詞「なり」終止形
■【御―】…尊敬の接頭語（光源氏⇒若紫）
■【自ら（みづから）】…自身。若紫の身をさす
■【渡し】…サ行四段動詞「渡す」連用形
※【渡す】…移す。移動させる
■【たてまつり】…ラ行四段動詞「たてまつる」連用形
※【たてまつる】…謙譲の補助動詞（光源氏⇒若紫）
■【つれ】…完了の助動詞「つ」已然形
■【ば】…順接確定条件（原因・理由）の接続助詞
■【帰り】…ラ行四段動詞「帰る」連用形
■【な】…強意の助動詞「ぬ」未然形
■【む】…意志の助動詞「む」終止形
■【と】…引用の格助詞
■【あら】…ラ変動詞「あり」未然形
■【ば】…順接仮定条件の接続助詞
■【送り】…送ること
■【せ】…サ変動詞「す」未然形
■【む】…意志の助動詞「む」終止形
■【かし】…念押しの終助詞
■【と】…引用の格助詞
■【のたまへ】…ハ行四段動詞「のたまふ」已然形
※【のたまふ】…「言ふ」の尊敬語（作者⇒光源氏）
■【ば】…順接確定条件（原因・理由）の接続助詞
■【笑ひ】…ハ行四段動詞「笑ふ」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【下り】…ラ行上二段動詞「下（お）る」連用形
■【ぬ】…完了の助動詞「ぬ」終止形
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もう、若紫をこちらに連れて来たのだから、
少納言の乳母よ、
あなたは帰りたければ、
勝手に帰ったらいいのだよ！
…って、冷たい――。
まあ、帰らないこと前提で、冗談として言ってるんでしょうけどね；；
