源氏イラスト訳【若紫363】二条院
二条の院は近ければ、まだ明うもならぬほどにおはして、西の対に、御車寄せて下りたまふ。若君をば、いと軽らかにかき抱きて下ろしたまふ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。
日々の古文速読トレーニングにお役立てください。
【源氏物語イラスト訳】
二条の院は近ければ、まだ明うもならぬほどにおはして、
訳)二条院は近いので、まだ明るくもならないうちにお着きになって、
西の対に、御車寄せて下りたまふ。
訳)西の対の屋に、お車を寄せて降りなさる。
若君をば、いと軽らかにかき抱きて下ろしたまふ。
訳)若君を、とても軽々と抱いてお下ろしなさる。
【古文】
二条の院は近ければ、まだ明うもならぬほどにおはして、西の対に、御車寄せて下りたまふ。若君をば、いと軽らかにかき抱きて下ろしたまふ。
【訳】
二条院は近いので、まだ明るくもならないうちにお着きになって、西の対の屋に、お車を寄せて降りなさる。若君を、とても軽々と抱いてお下ろしなさる。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
■【二条の院】…光源氏の自邸
■【は】…取り立ての係助詞
■【近けれ】…ク活用形容詞「近し」已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【まだ】…陳述の副詞(まだ~打消)
■【明う】…ク活用形容詞「明(あか)し」連用形のウ音便
※【明(あか)し】…明るい
■【も】…強意の係助詞
■【なら】…ラ行四段動詞「成る」未然形
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形
■【ほど】…うち。時
■【に】…時を表す格助詞
■【おはし】…サ変動詞「おはす」連用形
※【おはす】…「来」の尊敬語(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【西の対(にしのたい)】…西の対の屋(寝殿造の西側の離れ)
■【に】…場所の格助詞
■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)
■【車】…牛車
■【寄せ】…サ行下二段動詞「寄す」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【下(お)り】…ラ行上二段動詞「下る」連用形
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏・若紫)
■【若君】…若紫の姫君
■【を】…対象の格助詞
■【ば】…強意の係助詞「は」の濁音化
■【いと】…とても
■【軽らかに】…ナリ活用形容動詞「軽らかなり」連用形
■【かき―】…語調をととのえる接頭語
■【て】…単純接続の接続助詞
■【下ろし】…サ行四段動詞「下ろす」連用形
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
いよいよ、二条院まで連れて行きました。
二条院は、光源氏の自邸です。
正妻葵上のいる左大臣邸で、夜を過ごしていた光源氏が、
夜中に自邸へ戻り、
直衣に着替えて、
若紫を略奪に行く――。
なんともすばやい、行動力でしたね~!!