源氏イラスト訳【若紫333】保護者
「…今日も、宮渡らせたまひて、『うしろやすく仕うまつれ。心幼くもてなしきこゆな』とのたまはせつるも、いとわづらはしう、…」
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【源氏物語イラスト訳】
「…今日も、宮渡らせたまひて、
訳）「…今日も、父宮さまがお越しあそばして、
『うしろやすく仕うまつれ。
訳）『姫が安心できるようにお仕えせよ。
心幼くもてなしきこゆな』とのたまはせつるも、
訳）思慮が浅いようなお世話をし申し上げるな』とおっしゃったのも、
いとわづらはしう
訳）とても厄介で、
【古文】
「…今日も、宮渡らせたまひて、『うしろやすく仕うまつれ。心幼くもてなしきこゆな』とのたまはせつるも、いとわづらはしう、…」
【訳】
「…今日も、父宮さまがお越しあそばして、『姫が安心できるようにお仕えせよ。思慮が浅いようなお世話をし申し上げるな』とおっしゃったのも、とても厄介で、…」
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■【も】…強意の係助詞
■【宮】…若紫の父である兵部郷宮
■【渡ら】…ラ行四段動詞「渡る」未然形
※【渡（わた）る】…来る
■【せ】…尊敬の助動詞「す」連用形
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞（少納言乳母⇒兵部郷宮）
■【て】…単純接続の接続助詞
■【うしろやすく】…ク活用形容詞「うしろやすし」連用形
※【うしろやすし】…安心だ
■【仕（つか）うまつれ】…ラ行四段動詞「仕うまつる」命令形
※【仕（つか）うまつる】…「仕ふ」の謙譲語（兵部郷宮⇒若紫）
■【心幼く】…ク活用形容詞「心幼し」連用形
※【心幼（こころをさな）し】…思慮が浅い。子供っぽい
■【もてなす】…世話する
■【きこゆ】…謙譲の補助動詞（兵部郷宮⇒若紫）
■【な】…禁止の終助詞
■【と】…引用の格助詞
■【のたまはせ】…サ行下二段動詞「のたまはす」連用形
※【のたまはす】…「言ふ」の尊敬（少納言乳母⇒兵部郷宮）
■【つる】…完了の助動詞「つ」連体形
■【も】…強意の係助詞
■【いと】…とても
■【わづらはしう】…シク活用形容詞「わづらはし」連用形ウ音便
※【わづらはし】…厄介だ
■【ただなる】…ナリ活用形容動詞「ただなり」連体形
※【ただなり】…何事もない。普通である
■【より】…比較の格助詞
■【は】…取り立ての係助詞
■【かかる】…このような
■【御―】…尊敬の接頭語（少納言乳母⇒光源氏）
■【好き事】…好色めいた振る舞い
■【も】…取り立ての係助詞
■【思ひ出で】…ダ行下二段動詞「思ひ出づ」連用形
■【られ】…自発の助動詞「らる」連用形
■【はべり】…ラ変動詞「はべり」連用形
※【はべり】…丁寧の補助動詞（少納言乳母⇒光源氏）
■【つる】…完了の助動詞「つ」連体形
■【など】…引用の格助詞
■【言ひ】…ハ行四段動詞「言ふ」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
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少納言乳母の会話の続きです。
昼間に、若紫の父である兵部郷宮がやってきて、
若紫に目をかけておられることを、
光源氏の従者である惟光に匂わせています。
光源氏が放っておけば、
父宮が、若紫の保護者として、
連れ帰ってしまうであろう…と。
