源氏イラスト訳【若紫317】移り香 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏イラスト訳【若紫317】移り香

近う呼び寄せたてまつりたまへるに、かの御移り香の、いみじう艶に染みかへらせたまへれば、「をかしの御匂ひや。御衣はいと萎えて」と、心苦しげに思いたり。

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おねがい

【源氏物語イラスト訳】

 

近う呼び寄せたてまつりたまへ

訳)近くに呼び寄せ申し上げなさっ時に

 

 

かの移り香いみじう艶に染みかへらたまへ

訳)あの源氏の君の御移り香たいそう優美に深く染み込まなさっているので

 

 

をかし匂ひ

訳)趣深い匂いだなぁ

 

御衣いと萎え心苦しげに思いたり

訳)お召し物すっかりくたびれているが」と、お気の毒にお思いになっ

 

 

 

【古文】

近う呼び寄せたてまつりたまへかの移り香いみじう艶に染みかへらたまへ、「をかし匂ひ御衣いと萎え心苦しげに思いたり

 

【訳】

近くに呼び寄せ申し上げなさっ時にあの源氏の君の御移り香たいそう優美に深く染み込まなさっているので、「趣深い匂いだなぁお召し物すっかりくたびれているが」と、お気の毒にお思いになっ

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【近う】…ク活用形容詞「近し」連用形ウ音便

■【呼び寄せ】…サ行下二段動詞「呼び寄す」連用形

■【たてまつり】…ラ行四段動詞「たてまつる」連用形

※【たてまつる】…謙譲の補助動詞(作者⇒若紫)

■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒兵部郷宮)

■【る】…完了の助動詞「り」連体形

■【に】…時を表す格助詞

■【かの】…あの

■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)

■【移り香】…他の所に残り移った香り

■【の】…主格の格助詞

■【いみじう】…シク活用形容詞「いみじ」連用形ウ音便

■【艶に】…ナリ活用形容動詞「艶なり」連用形

※【艶(えん)なり】…優美だ。なまめかしい

■【染みかへら】…ラ行四段動詞「染みかへる」未然形

※【染(し)みかへる】…香りなどが深く染み込む

■【せ】…使役の助動詞「す」連用形

■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒若紫)

■【れ】…完了(存続)の助動詞「り」已然形

■【ば】…順接確定条件の接続助詞

■【をかし】…趣深い形容動詞「をかし」の語幹用法

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【御―】…尊敬の接頭語(兵部郷宮⇒若紫)

■【匂ひ】…におい

■【や】…詠嘆の終助詞

■【御衣(おんぞ)】…お着物

■【は】…取り立ての係助詞

■【いと】…とても

■【萎え】…ヤ行下二段動詞「萎(な)ゆ」連用形

■【て】…ここでは、逆接の接続助詞

■【と】…引用の格助詞

■【心苦しげに】…ナリ活用形容動詞「心苦しげなり」連用形

■【思(おぼ)い】…サ行四段動詞「思す」連用形イ音便

※【思す】…「思ふ」の尊敬語(作者⇒兵部郷宮)

■【たり】…完了の助動詞「たり」終止形

 

重要古語一覧はこちら

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☆本日の『源氏物語』☆

 

父兵部郷宮が、若紫を近くに呼び寄せると、

あの、光源氏の移り香が、なまめかしくただよってきます。

 

 

その匂いをかいで、兵部郷宮は、

何か、察したのでしょうか、ね?

 

えー

 


 

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