源氏イラスト訳【若紫306】情景×心情
いみじう霧りわたれる空もただならぬに、霜はいと白うおきて、まことの懸想もをかしかりぬべきに、さうざうしう思ひおはす。
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【源氏物語イラスト訳】
いみじう霧りわたれる空もただならぬに、
訳)ひどく霧の立ちこめた空もいつもと違っている上に、
霜はいと白うおきて、
訳)霜はとても白く降りて、
まことの懸想もをかしかりぬべきに、
訳)本当の恋人同士であればきっと趣深い はずなのに、
さうざうしう思ひおはす。
訳)もの寂しく思っていらっしゃる。
【古文】
いみじう霧りわたれる空もただならぬに、霜はいと白うおきて、まことの懸想もをかしかりぬべきに、さうざうしう思ひおはす。
【訳】
ひどく霧の立ちこめた空もいつもと違っている上に、霜はとても白く降りて、本当の恋人同士であればきっと趣深い はずなのに、もの寂しく思っていらっしゃる。
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■【いみじう】…シク活用形容詞「いみじ」連用形ウ音便
※【いみじ】…ひどい。はなはだしい
■【霧わたる】…霧が立ちこめる
※【わたれ】…ラ行四段動詞「わたる」已然形
※【―わたる】…一面に~する
■【る】…完了(存続)の助動詞「り」連体形
■【も】…強意の係助詞
■【ただならず】…いつもと違っている
※【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形
■【に】…添加の格助詞
■【は】…取り立ての係助詞
■【いと】…とても
■【白う】…ク活用形容詞「白し」連用形ウ音便
■【おき】…カ行四段動詞「置く」連用形
※【霜(しも)を置く】…霜が降りる
■【て】…単純接続の接続助詞
■【まこと】…本当。真実
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【懸想(けそう)】…恋い慕うこと
■【も】…強意の係助詞
■【をかしかり】…シク活用形容詞「をかし」連用形
※【をかし】…趣深い
■【ぬ】…強意の助動詞「ぬ」終止形
■【べき】…当然の助動詞「べし」連体形
■【に】…逆接の接続助詞
■【さうざうしう】…シク活用形容詞「さうざうし」連用形ウ音便
※【さうざうし】…ものさびしい
■【思ひ】…ハ行四段動詞「思ふ」連用形
■【―おはす】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
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光源氏の目から見た自然描写。。。
「いみじう霧りわたれる」とか、
「霜いと白うおきて」などは、
この当時の後朝(きぬぎぬ)の別れにおいては、
そても美しい情景のはず。
…しかし、光源氏の目には、
その光景が「さうざうし」と映っていたのです。