源氏イラスト訳【若紫297】単衣
単衣ばかりを押しくくみて、わが御心地も、かつはうたておぼえたまへど、あはれにうち語らひたまひて、
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【源氏物語イラスト訳】
単衣ばかりを押しくくみて、
訳)肌着だけを彼女にくるんで、
わが御心地も、かつはうたておぼえたまへど、
訳)ご自分の心情も、一方では面白くなく思われなさるけれど、
あはれにうち語らひたまひて、
訳)しみじみ愛情をこめてお語りなさって、
【古文】
単衣ばかりを押しくくみて、わが御心地も、かつはうたておぼえたまへど、あはれにうち語らひたまひて、
【訳】
肌着だけを彼女にくるんで、ご自分の心情も、一方では面白くなく思われなさるけれど、しみじみ愛情をこめてお語りなさって、
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■【単衣(ひとへぎぬ)】…肌着として用いた、裏地のない衣
■【ばかり】…限定の副助詞
■【を】…対象の格助詞
■【押しくくむ】…中にくるむ(「押し」は接頭語)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【わが】…自分の
※【が】…連体修飾格の格助詞
■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)
■【心地(ここち)】…心の中。心情
■【も】…強意の係助詞
■【かつは】…一方では
■【うたて】…面白くなく(副詞)
■【おぼえ】…ヤ行下二段動詞「おぼゆ」連用形
※【おぼゆ】…思われる
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【ど】…逆接確定条件の接続助詞
■【あはれに】…ナリ活用形容動詞「あはれなり」連用形
※【あはれなり】…しみじみ愛しい
■【うち語らふ】…そっと声をかける。語り合う
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
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若紫を追って、簾の内側にまで入っていった光源氏。
しかし、当の若紫は、たぶん光源氏に、上の衣を剥がれて、寒そうに、恐ろしそうにしていたのです。
それを見た光源氏は…
「単衣(ひとえ)」を彼女にかけてあげたのです。
ここで、「単(ひとえ)」というのは、肌着のこと。
…若紫、、、どんな格好をしていたんでしょうね;;