源氏イラスト訳【若紫293】伺候
「御格子参りね。もの恐ろしき夜のさまなめるを、宿直人にてはべらむ。…」
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見るだけで楽に、古文の速読力が身についてきます。
【源氏物語イラスト訳】
「御格子参りね。
訳)「御格子を下ろしてさし上げなさい。
もの恐ろしき夜のさまなめるを、
訳)何となく恐ろしい夜の様子であるようなので、
宿直人にてはべらむ。
訳)宿直人として伺候いたそう。
【古文】
「御格子参りね。もの恐ろしき夜のさまなめるを、宿直人にてはべらむ。…」
【訳】
「御格子を下ろしてさし上げなさい。何となく恐ろしい夜の様子であるようなので、宿直人として伺候いたそう。…」
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■【御(み)―】…尊敬の接頭語(光源氏⇒若紫)
■【格子(こうし)】…角材を縦横に組み合わせた黒塗りの戸。建物の柱と柱の間にはめる。上下二枚に分かれ、上だけを外側につり上げて開き、下は固定してある。開放するときは上下とも取りはずすこともある。
■【御格子参る】…(御殿の)格子をお上げする。また、格子をお下ろしする(格子の上げ下げについての謙譲語)。ここでは、格子をお下ろしするの意。
※【参る】…「下ろす」の謙譲語(光源氏⇒若紫)
■【ね】…完了(強意)の助動詞「ぬ」命令形
■【もの恐ろし】…なんとなく恐ろしい
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【さま】…ようす
■【な】…断定の助動詞「なり」連体形撥音便無表記
■【める】…推定の助動詞「めり」連体形
■【を】…順接の接続助詞
■【宿直人(とのゐびと)】…宿直をする人
■【にて】…~として(資格の格助詞)
■【はべら】…ラ変動詞「はべり」未然形
※【はべり】…「控ふ」の謙譲語(光源氏⇒若紫)
■【む】…意志の助動詞「む」終止形
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「恐ろしい夜だから、私が泊まってあげましょう!」
光源氏は、この状況までも味方につけるのですね。
「はべり」は、
①「あり」の丁寧語
②「仕ふ」の謙譲語
と、2つの敬語の種類があるのですが、
ここでは文脈上、謙譲語で捉えるべきでしょう。