源氏イラスト訳【若紫289】ゆゆしき | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏イラスト訳【若紫289】ゆゆしき

「今は、まろぞ思ふべき人。な疎みたまひそ」

とのたまふ。乳母、

「いで、あなうたてや。ゆゆしうもはべるかな。…」

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見るだけで楽に、古文の速読力が身についてきます。

おねがい

【源氏物語イラスト訳】

 

今はまろ思ふべき人。

訳)今やこそ愛するべき人なのです。

 

 

疎みたまひのたまふ

訳)そっけなくなさるおっしゃる

 

 

乳母、「いであなうたて

訳)乳母が、「あらまあ嫌なことです

 

 

ゆゆしうはべるかな

訳)とんでもないことでございます

 

【古文】

今はまろ思ふべき人。疎みたまひ

のたまふ乳母

いであなうたてゆゆしうはべるかな。…」

 

【訳】

今やこそ愛するべき人なのです。そっけなくなさる

おっしゃる乳母が、

あらまあ嫌なことですとんでもないことでございます。…」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【今は】…もはや。今となっては

■【まろ】…自称の代名詞

■【ぞ】…強意の係助詞

■【思ふ】…思いを寄せる。愛する

■【べき】…当然の助動詞「べし」連体形

■【な~そ】…~するな

※【な】…陳述の副詞〈禁止〉

※【そ】…禁止の終助詞

■【疎(うと)み】…マ行四段動詞「疎む」連用形

※【疎(うと)む】…そっけなくする

■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(光源氏⇒若紫)

■【と】…引用の格助詞

■【のたまふ】…「言ふ」の尊敬(作者⇒光源氏)

■【乳母(めのと)】…少納言の乳母。若紫つきの女房

■【いで】…おやまあ

■【あな】…ああ。まあ

■【うたて】…ク活用形容詞「うたてし」の語幹

※【うたてし】…嫌だ。不快だ

■【や】…詠嘆の間投助詞

■【ゆゆしう】…シク活用形容詞「ゆゆし」連用形ウ音便

※【ゆゆし】…とんでもない。恐れ多い

■【も】…強意の係助詞

■【はべる】…ラ変動詞「はべり」連体形

※【はべり】…丁寧の補助動詞(乳母⇒光源氏)

■【かな】…詠嘆の終助詞

 

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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

☆本日の『源氏物語』☆

 

「ゆゆし」というのは、

現在でも「ゆゆしき事態」と使います。

 

とんでもない、はばかられる

といったニュアンスのある、多義語です。

 

まあ、いきなりでびっくりしますよね。

 

ですが、ここでは

少納言の乳母は、自分自身の心配ではなく、

若紫への光源氏の執心に対して

「ゆゆしき事態」と表現しているのです。

 

それは、あとのつながりからも、分かってきます。

 

口笛


 

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