源氏イラスト訳【若紫262】秋宵
秋の夕べは、まして、心のいとまなく思し乱るる人の御あたりに心をかけて、あながちなるゆかりも尋ねまほしき心まさりたまふなるべし。
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【源氏物語イラスト訳】
秋の夕べは、まして、
訳)秋の夕暮れは、常にも増して、
心のいとまなく思し乱るる人の御あたりに心をかけて、
訳)心の休まる暇もなく、お気持ちが恋い焦がれるお方(=藤壺)の御ことに心を占めて、
あながちなるゆかりも尋ねまほしき心まさりたまふなるべし。
訳)無理にでもそのゆかりの人をも追い求めたい気持ちが募りなさるのであろう。
【古文】
秋の夕べは、まして、心のいとまなく思し乱るる人の御あたりに心をかけて、あながちなるゆかりも尋ねまほしき心まさりたまふなるべし。
【訳】
秋の夕暮れは、常にも増して、心の休まる暇もなく、お気持ちが恋い焦がれるお方(=藤壺)の御ことに心を占めて、無理にでもそのゆかりの人をも追い求めたい気持ちが募りなさるのであろう。
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■【の】…連体修飾格の格助詞
■【夕べ】…夕暮れ。夕方
■【は】…取り立ての係助詞
■【まして】…常にも増して
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【いとま】…暇
■【なく】…ク活用形容詞「なし」連用形
■【思(おぼ)し~】…お気持ちが~
※【思(おぼ)す】…「思ふ」の尊敬語(作者⇒光源氏)
■【乱るる】…ラ行下二段動詞「乱る」連体形
※【思ひ乱る】…恋い焦がれる。心が乱れる
■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒藤壺宮)
■【あたり】…周辺。付近。人
■【に】…対象の格助詞
■【心をかけ】…カ行下二段動詞「心をかく」連用形
※【心をかく】…思いを掛ける。思慕する
■【て】…単純接続の接続助詞
■【あながちなる】…ナリ活用形容動詞「あながちなり」連体形
※【あながちなり】…無理だ。強引だ
■【ゆかり】…縁者。ゆかりの人
■【も】…添加の係助詞
■【尋ね】…ナ行下二段動詞「たづぬ」未然形
※【たづぬ】…追い求める。尋ね取る
■【まほしき】…希望の助動詞「まほし」の連体形
■【心】…気持ち
■【まさる】…募る。増す
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【なる】…断定の恕同痔「なり」連体形
■【べし】…推量の助動詞「べし」終止形
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「秋」というのは、
平安貴族たちが異性のことを恋い焦がれて
夜長を寂しく過ごす季節――。
光源氏も、秋の夜長を
心の隙間なく恋い焦がれる人に占められているのですね。
そのお方は――藤壺宮です。
そして、その「ゆかり」である
若紫の事をも、まして手に入れたく感じているのです。
つまり、光源氏の中では
藤壺宮が1番
若紫が2番
ってことです!