源氏イラスト訳【若紫263】危惧 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏イラスト訳【若紫263】危惧

「消えむ空なき」とありし夕べ思し出でられて、恋しくも、また、見ば劣りやせむと、さすがにあやふし。

「手に摘みていつしかも見む紫の根にかよひける野辺の若草」

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おねがい

【源氏物語イラスト訳】

 

消えなきあり夕べ思し出でられ

訳)尼君が「消えていくようなない(死ぬに死ねない)」あっ夕暮れ思い出しなさずにいられなく

 

 

恋しくまた劣りさすがにあやふし

訳)恋しくあり、また逢え見劣りするだろう やはり不安である

 

 

摘みいつしか

訳)摘ん早く逢瀬を迎えよう

 

 

かよひける野辺若草

訳)紫草根元つながって野辺若草を」

 

 

【古文】

消えなきあり夕べ思し出でられ恋しくまた劣りさすがにあやふし

摘みいつしかかよひける野辺若草

 

【訳】

尼君が「消えていくようなない(死ぬに死ねない)」あっ夕暮れ思い出しなさずにいられなく恋しくあり、また逢え見劣りするだろう やはり不安である

摘ん早く逢瀬を迎えよう
 紫草根元つながって野辺若草を」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【消え】…ヤ行下二段動詞「消ゆ」未然形

■【む】…婉曲の助動詞「む」連体形

■【なき】…ク活用形容詞「無し」連体形

■【と】…引用の格助詞

■【あり】…ラ変動詞「あり」連用形

■【し】…過去の助動詞「き」連体形

■【夕べ】…夕暮れ

■【思(おぼ)し~】…お気持ちが~

※【思(おぼ)す】…「思ふ」の尊敬語(作者⇒光源氏)

※【思ひ出(い)づ】…思い出しなさる

■【られ】…自発の助動詞「らる」連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【恋しく】…シク活用形容詞「恋し」連用形

■【も】…強意の係助詞

■【また】…また。並びに

■【見】…マ行上一段動詞「見る」未然形

※【見る】…逢う。男女関係を結ぶ

■【未然形+ば】…順接仮定条件の接続助詞

■【劣り】…見劣り

■【や】…疑問の係助詞

■【せ】…サ変動詞「す」未然形

■【む】…推量の助動詞「む」連体形

■【と】…引用の格助詞

■【さすがに】…そうはいってもやはり

■【あやふし】…不安だ

■【に】…手段の格助詞

■【摘み】…マ行四段動詞「摘む」連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【いつしか】…早く

■【も】…強意の係助詞

■【見】…マ行上一段動詞「見る」未然形

※【見る】…逢う。男女関係を結ぶ

■【む】…意志の助動詞「む」終止形

■【紫】…紫草。ここでは、藤壺宮の見立て

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【根(ね)】…もと。根っこ

■【に】…帰着点の格助詞

■【かよひ】…ハ行四段動詞「かよふ」連用形

※【かよふ】…通じている。つながっている

■【ける】…過去の助動詞「けり」連体形

■【野辺】…野原

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【若草】…若紫の見立て

 

重要古語一覧はこちら

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

☆本日の『源氏物語』☆

 

「消えむ空なき」というのは、

光源氏が初めて尼君と若紫を垣間見たとき

尼君が詠んだ和歌の一部です。

 

 

早く、若紫を手に入れたい、と

恋しく思う気持ちもあるものの――

 

もし、実際に逢ってみたら

幻滅をするかもしれない…と、

危惧もしているんですね。

絶望

 

ところでこの和歌、

尼君や若紫が見たら

なんて思うでしょうか…ね。

 

笑い泣き


 

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